※ネタバレを含みますので、閲覧にはご注意ください!!

対立 (花とゆめ 2016年18号掲載)


「高華国の属国になることを望んでいる…?」

ヨナは少し面喰いながらも、タオ姫を見つめた。

「高華国のスウォン王は先日の斉国との闘いに勝利し、その前には南戒の金州を制圧し、北戒のリ・ハザラの軍をも破っています。スウォン王が次に狙うのはどこだと思いますか?」

真国だ…。
皆頭の中で理解した。

姉のコウレン姫は真国の姫として誇りを持っているため、他国に蹂躙されるなど到底受け入れられない。たとえ死んでもこの国の矜持を保とうとするだろうと言う。

「今の真国の軍事力では高華国に遠く及びません。高華国と斉国の両国にかこまれたこの状態で、戦を仕掛ければ確実に真国の民は滅びるでしょう。」

タオ姫は周りの美しい谷の風景を眺めながら言った。
「ですから私は多くの民を犠牲にする戦は避けて、高華国に下るしかないと思うのです。」

「でもなんで高華国の一般人の俺らにそんな話を?」
ユンが問う。

「えっ、あなた方はスウォン王の配下ではないのですか?」
驚くタオ姫。クシビの砦にてヨナ達とスウォン王が共に闘っていたと聞いていたと言うが、ハクはたまたま目的が同じだっただけだと答えた。

「でも、スウォン王と面識はおありなのでしょう?お人柄はご存知ですか?私はそれを知りたくて…」

「あの王が何を考えているかなんて、知らねえよ。」
ハクは下を向いたまま答えた。


タオ姫はヨナ達をもてなした。豪華な食事が並んでいる。

「遠慮せず、召し上がってくださいな。」

アルギラはかわいいシンアに興味深々。
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ヨナはおいしそうな食事を前に浮かない顔をしていた。
うーん、すごくおいしそうだけど…なんだか今日は少しお腹が痛い。
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うそ…っ。
バッとしゃがみこんだヨナ。隣に座っていたハクが顔を覗き込んだ。
「姫さん?どうしました?顔色悪いですよ?」

ちょっとまって、こんな時に。。
思わずヨナはハクの顔面をベシッと叩いた。
「近寄らないでっ!!」

ハクはヨナに叩かれた部分を赤くしながら、じろっとにらんでいる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・近寄ってすみませんでした。」

「違…っ、違うの」
慌てて弁解しようとするヨナだったが、すぐに生理痛に襲われた。
おなか痛っ。。

ジェハやユン達もヨナの様子を見て心配する。
「ヨナちゃん?」

タオ姫はその様子を見て、突然食事の下に敷いていた敷物を取り去ってヨナの元へと駆け付けた。
ごはんはひっくり返ってめちゃめちゃ。
「えっ、ええーーーータオ姫!?」
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「ヨナさんはおねむのお時間なのでお休みします!みなさんはお食事続けてください!」
ヨナをくるむように敷物をかぶせて、二人は部屋へと去っていった。

あっけにとられる四龍一向。


タオはヨナが生理痛に悩んでいることを察知し、着替えや寝床を用意した。

「無理はダメです。落ち着くまで寝ててください。」

「本当にありがとう…服まで借りちゃって…」

タオはにっこり笑いかけた。
「いいです。贈り物です。女の子はこんな時大変ですものね。」

「いつもは痛みとかなくて平気だったのに。気が緩んでるのかな…」

「何も悪いことじゃないですよ。お力になれて良かったです。」

旅に出てからこんなこと誰にも相談できなかったな…。
ヨナはあたたかい気持ちになる。

「斉国の砦の建設に、わが国の民も奴隷として連れていかれたのを知っていますか?」

「ええ」

「そこには、町へ出かけていた時に誘拐された私の女官もいたのです。砦の環境は劣悪で、人としての心も失いかけていた時…」

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「その方はすぐに立ち去ったらしいのですが、見たこともないような白くて美しい姿で天の使いではないかと思ったそうです。」

ヨナは目を輝かせて食いついた。
「それはっキジャねっ。そうなのっ、キジャかっこいいでしょうっ。きれいでしょう。」
女子会ムードの二人は楽しそう。

「そう!あの方ですよね?見てすぐわかりました!本当にいらしたんだと思うと嬉しくて。だから、あなた方にお会いしたいと思った一番の理由は彼女に代わってお礼を言うことだったのです。」
タオはにっこりとほほ笑んだ。

「そして、あなた方はスウォン王の命令で動いていると思ったものですから。スウォン王は民の尊厳を軽んじたりしない方なのではと…期待してしまったのです。」

「…」

「コウレン姉さまが行動を起こす前に、何とかスウォン王と話し合いの場を作れたら…って。」

「スウォン王は…」

ヨナは複雑な表情で、言葉を継げなかった。
スウォンはタオ姫の話を聞いてくれるかもしれない。…でも、スウォンに話を通すなんて私には…。

「ううん、タオ姫はお小さいのにしっかりしてるなって…。」

タオはふふっと小さく笑った。
「私、こう見えて19歳なのです。」

「ええっ、年上!?ごめんなさいっ。」

「いーえ、若く見られてお得です。」

可愛い人…ヨナは笑顔のタオ姫を見つめてそう思った。


夜になり、ヨナは夜風にあたろうと外へを出た。
緑豊かできれいな風景。

綺麗…
真国はとても美しいところね…平和そうに見える国が戦場になるかもしれない…私は…

ヨナが一人思いをはせていると、カツンと小さく足音が聞こえた。
黒い影…

「…誰?」

影はゆらっと揺れると突然ヨナに向かって接近してきた。
「死ねっ!!タオ姫!!」

そこに風のようにハクが現れた。
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ハクはヨナを片腕に抱く。

「大丈夫ですか?」

「う…うん」

ハクは突然昼間のヨナを思い出し、すすすっと後ずさった。

「近寄ってすみませんでした。」
面白くない表情でぼそっと口ずさむハク。

ああっまだ根に持ってる…
「だから、さっきのはねっ…」

その時、突然別の気配が。

「はっ」
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助けてくれたジェハに向かってハクはまた、面白くない顔をした。
「そんな楽しいことしてるように見えるのかよ。俺は今怒られたんだよ。」

片思い重症だなー。とジェハの感想。

そこへ、キジャ、ゼノやシンア達もやってきた。

「姫様、ご無事ですか?一体なんだこいつらは」

「私を…タオ姫だと思って殺そうとした。」

シンアは谷を見渡して言った。
「こいつらだけじゃない…この谷に何人も入り込んでる…」

ヨナはシンアの言葉を聞いて慌てて宮へと戻った。
「タオ姫はどこ…!?タオ姫が危ない…!!」




男だらけの旅って大変ですね…。
ヨナはすっかりタオを好きになっている様子。
今後どんな展開になるのか楽しみです!



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