※ネタバレを含みますので、閲覧にはご注意ください!!

砂漠のハレム 14話
(LaLa2016年9月号掲載分)

待ってた!LaLaで連載開始しました!
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カルム王子が南州を統治してから5年目。式典が開かれることになった。
出張から帰ってきたカルムは30人の側妻たちに式典で着るドレスを用意し、妻たちへプレゼントした。

ところが、奴隷上がりのミーシェは…
「いらない。そんな高価なもの貰えないもん」

その様子を見ていた他の側妻たちはひそひそ話をする。ミーシェにも聞こえる声で。
「やっぱり、奴隷出身だし、似合わないことをよくわかっているのね」

ミーシェは書庫で本棚にうなだれかかっていた。
…図星ですがなにか?
生まれてこのかたドレス選びなんてしたことないよ。皆美人でセンスのある他の妻たち。
彼女に並んだら自分がひどく子供に見えるのをミーシェは分かっていた。
そんな姿、カルム王子に見られたら嫌だもん…

ふと隣を見ると…カルム王子がじーーーーっとミーシェを見ていた。

「うわぁ!!!!カカカルム王子!?びっくりさせないでよ。」

「お前式典に出ないつもりか?」

ミーシェはきょとんとする。
「え?だって側妻は参列自由なんでしょ?」

「…欠席するといいながら、このような本を読んでいるし、本当は出席したいのではないのか?」
カルムはミーシェが落とした分厚い本を手に取る。南州の歴史書だった。

「…一応、側妻だし、カルム王子がしてきたことは知っておきたいと思っただけよ。この先何か力になれることもあるかも知れないしさ。」

カルムは嬉しそうに微笑みながらミーシェを見つめた。
「…そうか。ではついて来い。南州の事を手っ取り早く教えてやる。気分の良いものではないがな」
そういうとカルムはミーシェを王宮の一室に案内した。

その部屋には…たくさんの絵が飾られていた。朽ちた建物、飢えたこどもたち、娼婦の絵。
「…これは俺が治める前の南州の姿だ」
無表情で絵を見上げるカルム王子。

「…今南州はとても豊かだよね。どうやって変えたの?」
「色々やったが、…そうだな、官僚たちと協力し、性別問わず働ける環境を作り、力のない貴族や貧しい女性を後宮に入れ、家名や家族を守らせることもした…丸4年かかってしまったがな。」

…本当にすごい人なんだな。
「…少し出たくなったな式典。あなたにとって大切な行事なんだね。」

カルムはふっと笑うと、突然ミーシェの後ろに回った。
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「アデニウムオベスム。砂漠のバラの色だ。お前のような花の色だと思ってな。」

え、わざわざ選んでくれたの?
ちょうどよい機会だ、少しは身なりを整える事を覚えろとミーシェに伝える。

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「…かもしれんがな」
また明日、と部屋を出ていくカルム。
ミーシェは真っ赤になり、その場にへたり込む。
「…たらし王子」


そして式典当日。
式典でカルム王子の胸に記念バッジをつける役目を担っている側妻コレルが、他の側妻たちともめている現場に遭遇するミーシェ。いがみ合っている勢いで、コレルのドレスの袖が破け、大事な記念バッジがベランダから茂みへ投げ出された。

「!!!」
「もうすぐ式典はじまるわよ…どうするのよ…」

その様子を見ていたミーシェはドレスを脱ぎ、コレルへ投げた。そして、下着姿のまま、ベランダから飛び降りた。
「ま…待て!正装でなければ式典には参列できないぞ!」
「成功させることのほうが大事です!」

軽い身のこなしで木を伝っていくミーシェ。
しかし、足を滑らせ…
「ミーシェ様っ!」

侍女たちが目をつぶったその時…
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白馬に乗った王子様!
正装したカルム王子がミーシェをキャッチ。

「なぜその様な姿で木登りをしている。ドレスはどうした?」

「…ごめん、人にゆずった。」
ミーシェはばつが悪そうに、下を向いて答えた。

「…そうか、仕方がないな。式典の欠席を許可する。」


式典は始まり、コレルは無事にミーシェのドレスを着て役目を終えた。
カルム王子のスピーチ。

「俺はいずれこの国の全てを手に入れる。」
でかいこと言ったーーー!

「南州の地は、かつて要らぬといわれた人間達の不断の努力によって繁栄がもたらされた。どのような者にも国の宝になる権利があるのだと、差し伸べた俺の手を取り証明してみせた。そんな南州の民たちを誇りに思う。」
国民の皆がカルム王子の話を聞き入っていた。

「そしていつか、この国全ての民たちに手を差し伸べる王を目指す。」
王宮の窓から見ていたミーシェも心を動かされた。ああ、なんて器の広い人なのか。

ふと、カルム王子がミーシェを目にとらえて演説をつづけた。
「…その姿をこの先側で見届けると良い。」

こんなにちっぽけな私のことも、いつでも気にかけてくれる…



カルムが会食に向けて準備をしている最中、ミーシェが尋ねてきた。
そこには正装したミーシェの姿。
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「…ドレス、返してもらったの。せっかく選んでもらったから…」

「…悪くない。良く似合って…」
「さあ、思う存分笑え!!!!」

「…は?」

「服に着せられているって自分でも思った!っでも!今だけだから!」
カルム王子が国の頂点を目指すように、私は後宮の頂点に、彼の正妻になってみせる。誰よりも近くにいるために…

啖呵を切ったミーシェを見て、カルムは思いっきり吹き出す。
「まさか…笑われるために強面で着飾るものがいるとは…っ」
笑が止まらない。

「確かに胸の部分の布は余り、腹はきつそうだ」
そういうのは見なくていいっと怒ったミーシェの手を引いたカルム。

「だが安心しろ、お前が美しくなる方法は俺がよく知っている。」
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ミーシェの胸元のリボンを加えてほどいたカルム。呆然としつつ、真っ赤になったミーシェ。
「…先に言っただろう。砂漠のバラは赤色に染まるお前のような花の色だとな。」
リボンを加えたままにっこりと笑う、カルム王子。

さすが、けだもの王子!笑