※ネタバレを含みますので、閲覧にはご注意ください!!

やまない雨 (BELOVE 2016年15号掲載)



「やめて!!」

愛染に襲われ必死に抵抗する鈴子。

「あなたの思い通りになんてならないんだから!」

「思い通り?邪魔する者は切ってしまえばいい。さぁ、従順な妻となれ」

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鈴子の帯を解き、後ろから抱きかかえる。

―――とそこへ、ドアの向こうから声が。

「愛染さん、急ぎ知らせたいことが…」

「あとにしろ!」

「ですが、足取りを訊き回っている軍人がいるとかで…」

愛染は何か思い至り、鈴子を放して部屋から出ていく。
「逃げようなどと思わないことだ。おじい様がどうなってもいいというなら別だがな。」

部屋に一人残された鈴子は考える。
どうする…?どうしたらいい!? 落ち着いて震えるな考えろ。立って動け…
今できる最良のこと…

鈴は窓を開け、外にある馬小屋を見つけた。
賭けるしかない。


愛染が部下たちと話をしていると、突然馬のいななきが聞こえた。
「なんだ!?」

「娘が逃げたぞ!!!!!」
遠くに走り去る馬と鈴の着物が見えた。

「バカな!」
愛染は慌てて部下たちに追わせる。
しかし、愛染は不思議に思った。まさか人質を置いて逃げるとは…そういう娘じゃないと思ったんだが…
…いや待てよ、何かおかしい。

慌てて、秋山のいる部屋へと向かう。
「!!秋山が…いない!?」

隣の小部屋から音がした。ドアを開けようとするが開かない。
「やられた…!」

鈴はその小部屋の中で必死に秋山を引っ張り、部屋の奥へと連れていく。


秋山氏が気が付き、鈴子に目を向けた。
「いったい何が…」

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雨の中、暗い森の中をかけていく鈴子。着物は馬に括り付けたため、下着姿で必死に走る。
追手が戻ってくる前に、誰か助けを見つけないと…!

途中で躓いて泥だらけになりながらも、走り続ける。
そこに愛染の追ってたちと出くわす。

慌てて、岩場の影に隠れて身をひそめる。
今、捕まれば二度と逃げ出す機会はない。

寒い…ひどいかっこ…私。突然鈴子は心細くなり、目から涙がこぼれた。
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ふと、頭の中で誰かの言葉が浮かんだ。

「君は私の助手だから、大丈夫…」

誰?誰だっけ?

「何度でも昨日のように助けるから」

誰だかわからない…けど、もう少し頑張れるかも―
鈴子は涙をぬぐった。

―とそこに、足跡が聞こえた。
「!!」

逃げないと…
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「!!!!!」

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現れたのは、春時…!

「大丈夫か!どこか怪我は!」

「だいじょ…」

鈴子はふらふらと立ち上がり、春時へと身を預けた。
春時はマントを脱ぎ、鈴子にかけそのまま抱きしめた。

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私…この人知ってる…
鈴子の目から涙がこぼれた。

「誰かが来てくれるって思ったんです。―そうしたら春時さんがきた。」

「鈴子…」

春時は笑顔で好意を向ける鈴子を見て、我慢の限界だった。

「おまえのずうずうしいほどにまっすぐな目が好きだ。悪気もなんの意図もなく触れてくる手が好きだ。
ずかずか人の心に踏み込んで荒らして、うるさく小言を言う…その唇が」

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雨が降りしきるなか、2つの影は長いこと重なっていた。
近くの木の陰には、1つの人影。

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うう…つがる…
春時くん良かったけど、素直に喜べない…




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