「この絆だけは 必ず護り抜く」
genbukaiden
Story
大正12年、日本盛岡
奥田多喜子は女学校に通いながら、肺病で苦しむ母の看病をしながら暮らしていた。

妻と娘を1年も放っていた小説家の父が、突然帰って来る。
支那へと取材へ行っていた父は、戻るやいなや書斎に籠りきり。
そんな父を責めることなく、母は静かに息を引き取った。

呆然とする父に多喜子は怒りをぶつける。

「母様に近寄らないで!!」

「…美江、なぜ待たなかった。もう少しで、あの本が完成したというのに…」

母の葬儀の準備をしている折、父はようやく四神天地書と題した一冊の本を書き上げた。
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多喜子はそんな父へまたも激しい怒りを覚える。

「お父様!お母様が亡くなられたというのに…まだそんなことを!!いい加減にしてください!」

多喜子は父の持っていた四神天地書を取り上げ、破ろうとする。

「多喜子!やめなさい!それはただの本ではない!」

突然、本からものすごい光が放出した。
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多喜子は本の中に吸い込まれ、髪を結っていたリボンと四神天地書だけが父の足元に落ちていた。


寒い…
余りの寒さに、目を開くとそこは見たこともない雪山。
多喜子は何が起きたのか全く理解できず、訳もなく吹雪く森の中を歩きまわる。

突然、視界が開けると、大きな石碑に縛り付けられた女の姿が飛び込んできた。
女は多喜子に気がつく。
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背後から、地響きが聞こえる。

「な…」

雪の中から見たこともない怪物が、何匹も現れた。
多喜子を食おうと襲ってくる。

「…あーあ、おいでなすった。」

「な…何か」

多喜子は辺りを見渡し、木の枝を見つける。
素早く手に取ると、得意の薙刀の構えで怪物に立ち向かった。

「…はぇ、闘う気か?」

必死に戦うも、数が多すぎる。
どうしよう…このままじゃ…誰か…
その時、はりつけになっていた女から声が聞こえた。

「…しょーがねぇなあ…人助けなんてオレの柄じゃねえが、女食い殺されんの見んのも夢見が悪いしな…」

!?
突然、辺りの風がヒュッと鎖を断ち切った。

え?この娘…?

「伏せな!破風烈斬!」

風がまるで刃物のように、怪物を切り刻んでいく。
怪物は全て倒したが、力を失ってその場に倒れ込む女。
多喜子が駆け寄り、額に手を当てるとものすごい熱があった。

これが夢か現実かわからないけど、この娘このままにしていたら、死んでしまう。
彼女を背負いしばらく歩くと町が見えてきた。

もともと女がとっていた宿に、彼女を運ぶ多喜子。
寝床に寝かせ、服を脱がせた。
人肌で熱を吸えば…

多喜子も服を脱ぎ、彼女に覆いかぶさるようにして横たわる。
しばらくして、女が気がついた。

「…お前」
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え…なっ…なっ…な、男!?

「いやあああああああ!なんでっ!?おっ、女だったわ、確かに女だった!!むっ胸だってこうっ…悔しいくらいに立派なっ!」

「あ―――…気にするな、お前くらいがちょうどいい」

「あらそう…ってそうじゃなくて、どうして!?なんなのあなた!!」

男は彼女の足を見る。
がたがた震えて変色していた。

「グダグダうるせえ、来な。熱下げてくれんだろ。」

見知らぬ男と床を共にするなんて…もうお嫁には行けない…
ふるふる涙目で首を横に振る、多喜子。

突然、多喜子の周りの風が舞い上がり、なんと彼女を寝台まで運んだ。
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男だったはずの身体は、またもや女に戻った。
この人…変な力使うし、普通の人間じゃない…。

「体冷え切ってんじゃねーかよ。足も…凍傷なりかけ」

多喜子の足を持ち上げると、息を吹きかけた。
温かい風が彼女の足を包む。

目が覚めると、男はすでに起きていた。

「お前、よそ者か。…日本とか言っていたな。この北甲国は初めてか。どうやって来た。」

「……」

多喜子は考えを巡らせる。
そうだ、あの本…お父様が作った本、あの本から突然光が…そう、雪が吹き付けて…
…まさか、ここは…

「…四神天地書…」

驚いた表情で男は多喜子を振り返る。

「…お前、よそ者がなぜその存在を知っている!お前…まさか玄武の巫女…」

「ちょ、ちょっと待って…玄武の巫女って?」
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胸に「女」の星を宿すこの男は「女宿(うるき)」、玄武七星士のひとりだった。
多喜子は玄武の巫女の運命を背負い、北甲国を守ろうと奮闘する。


Comments
ふしぎ遊戯シリーズはファンタジー少女漫画の代表だと勝手に思っています。
朱雀編も面白いですが、玄武編の方が個人的にはオススメです。
何と言っても、多喜子と女宿・リムドの純愛がたまらんですよね。
七星士と巫女は一緒になれない…結末はものすごく泣けます。


Comics
少女コミック、連載完結




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