※ネタバレを含みますので、閲覧にはご注意ください!!

修羅の王 (花とゆめ 2016年22号掲載)

真国の国境近くの町の潸潸(サンサン)へ逃げ延びたヨナ達。

ヨナ達に改めて謝るタオ姫。

「本当に巻き込んでしまって、申し訳ありませんでした。皆さんをすぐにでも高華国へお送りしたいのですが、日中は人が多いので日が暮れてからにしましょう。」

「このまま去るには心残りが多すぎるんだけどね。」

ジェハは少し申し訳なさそうに言う。

「いいえ、どうかお忘れください。…そういえばヨナさん達はどちらに?」
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「民の中には私の考えに賛同してくださる方もいます。隠れてばかりもいられません。」

ヴォルドは難しい顔をする。

「…ですが、今しばらくはご辛抱を。」

アルギラが勝手にジェハの髪を三つ編みして遊んでいる。

「大丈夫だよタオちゃん。ヨナちゃんにはハクがいるし、僕が後から迎えにいくから。」



町の様子を見に行った、ハクとヨナ。
ヨナは武器屋の多さに気が付いた。剣を買う子供の姿が目に止まった。

「俺はこの剣でスウォン王をやっつけるんだから。」

子供はヨナに気がついた。
ヨナが弓を持っていることを知り、弓対決に誘う。

「逃げても不審だし行きますか。こりゃあ姫さ…」

ハクはユンに町中で姫と呼ぶなと言われていたことを思い出し、
ヨナの呼び名を考える。

「ヨナさんまけらんねぇなぁ」

「ヨナさん!??なに!??ヨナさんって」

「何って、だっていつもの呼び方はアレだし。」

「でもっ、なんかっ、ハクにヨナさんって呼ばれるのは変よ。むずむずする。」
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すっごい破壊力…
ヨナは顔を真っ赤にして震える。
知らなかった、ハクに名前呼ばれると心臓がぎゅっとなるんだ…
なんでこうなってしまったの…

「…いやこれは駄目だな。ま、仮の名だしご主人様でいいか」
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「姉ちゃん、弓を教えてよ。」

「武術を身につけたいの?」

「うん、みんなが言ってるんだ。高華国王は真国を侵略し、皆殺しにするって。」

ヨナは驚いた表情で答える。

「……皆殺しなんてしないわ。」

「ジュナム王の時の戦では人がたくさん殺されたって、コウレン姫は闘うって言ってる。だから俺も闘うんだ!!」

ヨナは衝撃をうける。子供が戦に行くだなんて。

「真国の王はなんといっているの?」

「知らないの?王様は病気なんだよ。王様が病気だから代わりにコウレン姫が頑張ってるんだ。」

え?
王が病に伏しているなら、次期王となるコウレン姫に民が期待を寄せるのは当然の流れ…
私はタオ姫を残してこのまま帰っていいの?
いや、この状況で私にできることなんて何も…本当に…何もない?

ヨナは自問自答を繰り返す。

「姉ちゃんあの鳥捕れる?」

子供は面白そうにヨナにたずねた。

「ええ。」

ヨナの放った矢はまっすぐに取りに当たり、射られた獲物は力なく落ち、
一人の真国の貴族の頭に当たった。

「!!きゃああごめんなさい!」

ヨナは一目散に貴族の元へ駆け寄る。

「下に人がいるなんて…大丈夫?」

「………ふふっ、いや。詫びる必要はない」
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綺麗なひと…
ヨナはしばし見惚れる。

「久々に痛快だった・・ではな。」

少し歩みを進めて、ヨナが射た鳥を持っていたことに気がつき戻ってきた。

「…持ち帰るところであった。」

ヨナはふふっと笑った。

「……お前…顔を上げよ。赤い髪をしているな。」

綺麗なその人はヨナに手を伸ばし、前髪に指を絡めた。
その瞬間、ハクが2人の間に入った。

「…失礼、何か?」

「……赤い髪が珍しいと思っただけだ。もうよい、去れ。だが娘、お前の弓の腕は気に入った。その力是非国のために役立ててくれ。」

え…
ヨナの思考が止まっている間に、後ろから声が聞こえてきた。

「コウレン殿下、ここにおられましたか。」

もう一度、綺麗な彼女を見る。
ヨナの心臓がドクンと跳ねた。
コウレンはヨナと一瞬目を合わせると、踵を返して村の集会所に向かった。

村人たち皆、コウレンの美しい姿に見惚れる。

あの人が…
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ハクもヨナの隣で驚きを隠せない。

「貴族かと思ったがこれは大物だな。こんな国境沿いの町に現れるとは。」

コウレン姫は演説を始める。

「皆、息災で何よりだ。この町の子供たちを見た。皆勇ましく武術の才を持っている。正しく導けば近い将来必ずや名のある武将になるだろう。ここは高華国が目と鼻の先にある町。だが!!」

コウレン姫は剣をまっすぐ天へと突きあげた。

「恐れるな!!真の血を持つ真の魂を宿した選ばれし民よ!!」

村人皆がコウレン姫にくぎ付けだった。

「戦となれば、私やここにいる五星がこの町の守護神となり、必ずや敵の五体を砕き、緋龍城に住まう化け物どもの喉笛を潰してみせよう!!!」

民たちは皆コウレンの名を叫ぶ。

「コウレン殿下!!コウレン殿下!!」

ああ…
姫でありながら、この人は…
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戦が…始まる。
ヨナは眉を寄せながらコウレンを見つめる。
コウレンの圧倒的な魅力に恐ろしささえ感じながら。

「…ハク」

始まってしまう…

「ハク」

「…居ますよ。」

ハクはスッとヨナの手を握った。

「…ハク、私先刻から何度も何度も考えて、何度も何度も打ち消していることがあるの。」

ヨナの表情がますます険しくなった。

「それは何もできない私が、もしかしたら一つだけできる事。」
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戦を止める唯一の希望。

「そうなったら、お前はついてきてくれる?」

ハクも険しい表情で下を向く。

険しいほうへ険しいほうへ、その足は向く。
どうしてたった独りで行かせることができようか。

「行きますよ、どこへでも」

たとえ、その向こうに…
誰がいようとも


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ヨナが畏怖を覚えるほどの、コウレンの王たる気質。
最初イケメン男性かと思いドキドキしました。

ヨナはやっぱり苦難の道を行くのね…
スウォンに会いに行くとか…




暁のヨナ 21 (花とゆめCOMICS)
草凪みずほ
白泉社
2016-08-19