※ネタバレを含みますので、閲覧にはご注意ください!!

(花とゆめ 2016年21号掲載)

レオンの両親が殺された惨劇の日、
ノアに連れられたレオンはロンドンへと向かった。

しかし、途中でまた吸血鬼に襲われ、
レオンはひとり雪の舞う下町をさまよった。

「正直もう死ぬのだと思った」

レオンの隣でエスターは涙を流した。

「ごめん、寝る前にちょっとする話ではなかったね」

「いいえ、いいえ…!レオンが生きていて本当に良かったです」

レオンはエスターを見つめた。

「俺が生きていられたのは、下町に住んでいたとある親子に身体も心も救われたからなんだよ」

「そうなのですね、その方々がいなければ私はレオンに出会えなかった…心より感謝します」

その下町の親子が自分だとは知らないエスター。
レオンは微笑みながら、彼女を抱き寄せた。

「そうだね、心から感謝しているよ。あなたに逢えて本当に良かった」
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翌朝、レオンの歩んできた道に想いを馳せるエスター

きっとレオンはずっと吸血鬼を恨み、吸血鬼におびえ生きてきた。
そんな彼が今夜、吸血鬼のもうひとつの巣窟へ踏み込む。

きっとこれはレオンの中で、けじめをつける訪問
私がついて行ってどこまでお役に立てるのかはわからない…

だけどもう不安に思ったりしない
ゆうべレオンはすべてを話してくれた。

だからもう何も怖くない、私の心は無敵だ。

「おはよう」

レオンがエスターをみつけて、話しかける。

「おはようございます、レオン!」

エスターはレオンに持っていた小さな包みを渡した。

「昨日お祭りで買ってきた魔よけのお守りです。清められた草が何種類も入っているそうです」

一緒に頑張りましょうね!
意気込むエスターを見て、吹き出したレオン。

「いや、とても和んだ、ありがとう大切にするよ」
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あなたのそのたった一言が、私にどれだけの勇気を与えてくれるのか
あなたはわかっているのですか。



夜になり、雨がぽつぽつ降り始めた。

「あいにくの雨模様だが、では諸君「狼の根城」へ出発するとしようか」
レオン達は馬車へと乗り込み、ギルモア侯爵の屋敷へと向かう。

ギルモア侯爵は人間と共存したいクリス様とは相反する立場をとっている吸血鬼。
人間を襲うことをいとわないひとだという。

…でも、じゃあお母さんは?
彼にとって人間のお母さんは、ただの食糧ではなかったのかな?

「そろそろ邸が見えてくる頃でしょうか…」

突然、馬車が止まった。

「何か止まったぞ?」

「どうやら前の馬車がぬかるみにはまってしまったようです。押すのを手伝ってまいります。」

「そうか頼んだ」

そこに、後ろから馬車がやってきた。
レオンが挨拶しようと馬車を降りると同時に、中から大きな男が出てきた。
エスターはすぐさま彼が吸血鬼だとわかる。

「レオン、待ってその人は…!」
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エスターの姿を目にして、信じられないような表情を見せる大男。
彼女を思い切り抱きしめた。

「メグっ」

え…メグって…

「放せ、その人は俺の妻だ」

レオンが怒りの形相で大男の肩を掴んだ。
大男はすでにエスターをひょいと抱きかかえている。
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「そうか…」

とつぶやくと、大男はエスターをひょいと肩に担ぎ、そのままスタスタ歩いていく。

「ひとの女を持ち運ぶな!」

怒り心頭のレオン。
大男はその声も無視して、ぬかるみにはまった馬車をひょいと持ち上げた。

「これでいいか。さっさと馬車を出してくれ。」

馬車の中から、エヴァが顔を出す。大男をみて驚いた。

「…なんであんたがここにいるのよ。プリムローズ。」

「エヴァ…この人は…?」

「その男はジェイル・プリムローズ…ギルモア侯爵よ」

お父様!!


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更新遅くなりました;
ギルモア侯爵登場!
エスターのお父様、不器用そうだけどいい人な予感。