※ネタバレを含みますので、閲覧にはご注意ください!!

隣国の化け物 (花とゆめ 2016年21号掲載)

猛火に焼かれながら、ゼノは助けに来たアルギラを見る。

「にゃんこの…兄ちゃ…ここは、もうすぐ崩れる。押さえてるから…早く…」

アルギラは黒焦げになっているゼノを前に、なかなか言葉が出てこない。

「押さえてるからって…お前…」

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アルギラはグッと何かをかみしめながら、言葉を振り絞った。

「…恩に着る」

アルギラはタオ姫を布で包み抱えると、従者と共に全速力で炎の中を脱出した。

「アルギラっ!ゼノさんがっ…!」

アルギラは歯を食いしばりながら、炎を中を疾走していった。



「あっ、出てきた!」

アルギラとタオは無事外へ脱出を果たし、ヨナ達と合流した。

「タオ姫…!良かった!」

ヨナはタオ姫に駆け寄る。
うずくまっていたタオが顔を上げて、ヨナ達を見る。

「…っ、申し訳ありません!ゼノさんは私たちを逃がすために柱を支えて…まだ中に…」

ヨナ達の表情が凍る。

「ごめん…助けられなかった」

アルギラは悔しそうな表情で、頭を下げた。

「ゼノ君なら大丈夫だ。自力で脱出してくるよ。」

ジェハがアルギラに声をかけた。

「…全身炎に包まれて、柱を支えてた。動いたら屋敷が崩れるし、崩れなかったとしても…もう…」

ユンは真っ青な表情でつぶやいた。

「じゃあ、ゼノは…炎が消えるまで…この中で焼かれ続けているの…!?」

その言葉に反射的に反応した、キジャとシンアが炎を中へと突っ走る。

「キジャ君、シンア君、駄目だ!!」

咄嗟に彼らの前に立ちふさがる、ジェハとハク。

「どけハク!ジェハ!ゼノが…」

「わかってる!僕が行くから、君達はここに…」

「やめろ!!死ぬぞ!!」

今度はアルギラが止めに入る。
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ゼノ…!!



炎に包まれ、意識が朦朧となる中、ゼノは思った。

やばいなあ、早くしないと…

みんなが助けに来る…

「心配ないから…こんな簡単に死ねるなら……苦労…しない…」

ただれて機能しなくなっている足を引きずりながら、一歩ずつ外へと向かって歩みを進めるゼノ。
柱はガラガラと崩れ落ち、彼の行く手を阻んだ。
それでも、一歩一歩ヨナ達の元へと歩いて行った。


「あっ…」

ヨナは炎を中から現れた黒い物体を見るや否や、駆け寄った。

「ゼノ!!」

ゼノは仲間たちを認識すると、その場に崩れ落ちた。
身体の輪郭もよくわからないゼノを抱きとめる、ヨナ。

ゼノ!ゼノ!!

「う…あ…」

外気にさらされ、ジュワアアアアと音を立てて煙を吹く身体に、苦しみの声を上げてヨナに縋りつく。
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そのまま、ゼノは気を失った。

見たこともない光景に呆然とする、真国一同。

「あなた方は…いったい…」




洞窟に避難したヨナ達。

「ぷはー、生き返ったァ…あれ?」

ゼノはみんなの暗いどんよりとした空気に気が付いた。

「みんな暗いぞー。ほらっ、こんがり焼けてもつるすべだから。」

ユンはまだ大粒の涙を流し続けている。

「ボウズ、大丈夫だから殺しても死なないから。」

「そういう問題じゃないよっ」

突然、アルギラがドタバタ近寄ってきた。

「ゼノにゃん!!」

ん?ゼノにゃん?
アルギラはゼノの手を握りしめた。

「ゼノにゃん体治ってる!四龍って龍の能力持ってるんだって?とにかく生きててよかった!礼が言える!」

アルギラは土下座した。

「助けてくれて、本当ありがと!!」

「ゼノの身体が役に立つなら、いくらでも使うといいから。」
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タオ姫も改めて、謝罪に来た。

「皆さん、大変なことに巻き込んでしまって、なんとお詫びしたらよいか。」

「タオ姫こそ、体大丈夫?」

「はい…ですが真国は危険です。あなた方を一刻も早く高華国にお帰ししなくては。コウレン姉さまは私が命を懸けて止めます。真国の事はどうかお忘れになって。」

ヨナは少し納得いかない表情でうつむいた。


翌朝、アルギラはハクにお願いに行っていた。

「ハクにゃん、ちょっとお願いきいて。」

にゃん…心の中でつぶやくハク。

しばらくして、空を鋭く切る音にジェハは気がついた。

「お、ハクが手合わせなんて、久々だね。」
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まだ、ハクにかなわないアルギラだが、その実力は相当なものだった。

「ハクにゃんは四龍の中の何龍?」

「暗黒龍」

「はーかっこいいな」

騙されるなーっとキジャから突っ込みが入る。
手合わせの様子を見ていたヴォルドもジェハに手合わせを申し込む。

「こんな奴らがいる国と真国は戦争しようとしてんだな。」

アルギラはハクを見据えて言う。

「…お前はなぜタオ姫についている?見たところ闘うのは好きそうだが。」

「真国には高華ほどの兵力はない。コウレン姫は女子供を兵士にしてでも闘おうとしている。それは好きじゃない。」

「属国になって高華の国王が非道な男だったらどうする?」

「その時はその時だ、政の駆け引きとかわかんね。ただ、タオ姫が決めた事を俺は信じてる。」


襲ってきたコウレン組の刺客たちも、自らの陣営にたどり着いた。

「ミザリ帰ったか。」

「タオ姫のとこ様子見てきました。」

「報告聞いている。コウレン様がお怒りだったぞ、勝手な行動する阿呆はいらない、消えろと」

ドバっと涙を流す、ミザリ。

「コウレン様のお役に立ちたかった。」

仲間たちに非難されるミザリだったが、反論した。

「僕だって何も掴んでこなかったわけじゃないです。タオ姫側に高華国の人間がいました。それがすっごく強いんです。噂の化け物たちもいました。面白いんですよ。黒焦げになった体が再生するとこをみました。」

五星の仲間、ネグロとヨタカが振り返る。

「不死の人間です。」

そのまま、言葉をつづけるミザリ。

「部下たちの中には巨大な爪と空飛ぶ妖怪も見たという者も…僕はあれらが欲しいです。横取り出来ないかなぁ。」

にっこりと微笑みを浮かべた。



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ゼノォォオオ
自分が焼かれて苦しい中で、仲間たちのことを心配するなんて…
本当優しすぎる…
改めて四龍の絆に涙。

奴らが四龍を狙おうとしてる。
またヨナ達を傷つけようとしてるなんて、ほんと許せん。