「私の好きな人は津軽なの」
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明治メランコリア meiji melancholia 
リカチ

津軽、鈴子の縁は成就するのか?
待ち受ける巨大な壁に立ち向かっていく二人。
予想外の展開にハラハラさせられます!


Story:
時は明治―――女学校に通う桐院鈴子、15歳。
幼い頃に遊郭に売られたが、人気呉服店の跡取り・藤島津軽に身請けされ、
外の世界へと飛び出していった。

彼は鈴子に多くのことを学ばせてくれた。
年々、彼に対する恋心は大きくなるばかり。
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結婚だってできるんだから!

もう5年も一緒にいるのに、いつまでも子供扱い。
家族愛ではもう物足りなくなっていた。

そんな時、津軽の両親が鈴子に縁談の話を持ってきた。

「津軽…これ私のお見合いの写真。断ってほしい?」

「え…いや、それは君が決めることだよ。」

手…震える。冷たくなってる。
鈴子は緊張で頬を染めながら、津軽をまっすぐ見つめる。

想いをまっすぐ口にするのって、こんなに怖かったっけ?

「わかってるかな」
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津軽は困った表情をしながら、答えた。

「うーん、まいったな…そういうふうには…私には、君は小さな子というか…」

鈴子は傷ついた顔をする。
あ…やっぱり…

と、隣にいた津軽の親友、河内が声をかけた。

「驚きだねぇ、鈴ちゃん!すごいね!今の、昔ならまともに取り合ったりしなかったよ!それってつまり確実に意識が変わってきたってことだよね?」

河内はいつも鈴と津軽を応援してくれていた。

「いろいろ思うとこはあるかもだけど、とりあえずさぁ、二人このままお付き合いしてみなよ!お試し大事!」

津軽は待ったをかけるが、河内に押されてお試しのお付き合いを始めることに。
小さい頃から二人一緒に歩いているせいか、お付き合いしていても周囲の反応は全く変わらず。
お付き合いって…何だろう。
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鈴子の不安も自然体で手が早い津軽のせいで、一気に消し飛んだ。


そんな折、津軽の周りでは不穏な動きが。
津軽自身、ピリピリしていて何かに悩まされているようだった。
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「津軽…その手紙何かあるの?それ…津軽を今悩ませている何か?」

津軽は打ち明けない。

「私じゃ、力になれないかな?わずかでもだめかな?私いつだって津軽の力になりたいって思ってる…」

鈴子はカバンから男物の浴衣を出して、津軽に渡した。


「君を…愛しく思う。でもそれが、君の言う好きと同じかはわからない。私自身、あまり近くにいすぎたから、よくわからないんだよ。」

「こ…これからだよ、そのためのお試しだし。」

津軽の表情が陰った。何かこれから起こる事態を思案しているようだった。

「たとえば今、君にひとつの枷をつけていくとしたら、君は私を待つだろうか。」

鈴子から渡された浴衣を羽織る津軽。

「ごめんね、私はずるいから。」

津軽は鈴子の頬に手を伸ばし、少し上を向かせた。
そのまま、唇を重ねる。
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鈴子は何が起こったのか、認識するのに時間がかかった。
みるみる頬が赤くなっていく。
恥ずかしくて、津軽が何か言う前に、また明日と家を飛び出していった。

これから楽しい恋人の時間が始まる…
そんな彼女の期待をよそに、翌日津軽はロシアの密偵だと疑いをかけられ、
忽然と姿を消したのだった。



Character:
桐院鈴子 Suzuko Touin
前向きで心根の強い15歳。没落華族の末娘。
幼い頃、放蕩した末に死んだ父親の借金返済のために遊郭に売られた。
貧しい生活、姉の自殺を乗り越え、遊郭で出会った藤島津軽に身請けされ、彼の元で生活する。
津軽に対して恋心を募らせるも、子供扱いする彼につい憎まれ口を叩いてしまう。

藤島津軽 Tsugaru Fujishima
優秀であるが自由でちょっと変わり者の20代後半の青年。老舗呉服屋「藤島屋」の長男。
跡目として藤島屋の支店の店主を務める傍ら、「さがしもの屋」を趣味として行っている。
父親から莫大な借金をして、鈴子を身請けする。
鈴子の事が大切だが、女性として意識しているかどうかはいまいち自覚に欠ける。


Info:
BELOVEにて連載中
明治緋色綺譚の続編。


最新刊9巻は11/11発売予定!