※ネタバレを含みますので、閲覧にはご注意ください!!

約束の地 (BELOVE 2016年20号掲載)

汽車を乗り継いで、北へ。
ひなの待つ場所へ向かう、鈴子と津軽。
待ち合わせの場所は日帰りでは行けないような遠い地だった。

春時兄様の言うことを聞いて家で待つべきだったろうか。
鈴子は旅路の途中で、考えを逡巡させる。

でも…捨ててあった書き損じの手紙。
そこには「さようなら」の文字が記されていた。
書き損じだからと思っても…。

鈴子と津軽は手紙に記されていた名所にたどり着いた。
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「古い友人というのは昔付き合っていた女性なんだ。そして君を襲った愛染の元妻でもある。
春時君をそそのかしたのも、彼女だろう。」

津軽は険しい表情のまま、鈴子とは目を合わせずに話を続けた。

「先のない病にかかっている。命がつきるまえに何かを残したくてしょうがないんだと…思う。」
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あれっ、私何言ってんだろう。

「えっと、ほら、いつまでも怒るとか、大変ですよね。許しちゃったほうが楽なんだよ!…
って昔誰かから聞いた気がする。」

津軽は少し驚いた表情で、鈴子をじっと見つめる。

「それ…言ったの私かも。」

「えっ…そうでしたか。」

少し照れた様子の鈴子を見て、津軽は微笑んだ。

「ハハ、小腹がすいたね。何か食べようか。」


鈴子が饅頭を買うために店先に並んでいると、チンピラ風情の者達が店の通りをやってきた。
さりげなく鈴子の後ろに回って、彼女を守る津軽。
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「おいしーい!」

饅頭をほおばった鈴子。

「あはは、お饅頭がお饅頭食べてる感じだね。」

「どういう意味ですか。」

鈴子の怒った表情が降ってきた。
津軽は「しまった」と冷や汗をかく。

「あ…いやいや…つい。」

フンっとそっぽを向いて、さらに饅頭をほおばる。
しかし、津軽の表情が気になった鈴子はやっぱり彼の方を振り返る。
バチッと目が合った。
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この人のこと、好きみたい………
頬を染めながら心の内に気付いた。

津軽への想いを自覚して、頭をぐるぐる言わせながら、
2人は宿へと足を運んだ。



翌日、ひなと春時。
工事中の製鉄所にいる。

「それで、春時君はいつ私を裏切るの?津軽と私の心中に協力なんて嘘でしょう。」

大方、鈴子に危害を加えないように自分を見張っているのだろうと問う、ひな。

「でもね、そこまでしてもあなたは何も手にできない。だって、それが自分のためだものね。」

ひなは死を覚悟して、吹っ切れた表情を見せる。

「愛されてこなかったから、相手の全部が欲しいんだよね。全部もらう方法はただひとつだけ。
命を奪うことだけだよ。」


製鉄所についた津軽と鈴子。
鈴子はひなの顔をみるやいなや、激しい頭痛に襲われた。

なんだろう、このいやな感じ…

春時は鈴子をみると、声を荒げた。

「なぜ鈴子がいるんだ!?」

「私に言われても、でも連れてきちゃったものはしょうがないよね。」

津軽はすぐに鈴子の前に立ち、彼女を後ろへ下がらせる。
近づいてくる、ひな。

「津軽、海に浮かぶ島々は見た?北上する汽車で、季節を移動していく感じはどうだった?
ここに来るまで、私はあなたと一緒に旅行に来た気持ちで、景色を見ていたよ。」
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「でも、私考えたんだ。自分が死ぬ前に何がほしいか。何かを残したい。悲しみなら残せそう。
私のために誰かに死んでほしい。」

実は、くず入れにわざと手紙を捨てたのは、ひなだった。
全ては鈴子をおびき寄せるために、仕組んだこと。
身を寄せ合う津軽と鈴子の後ろには、猟銃を構えた男が。
動いたら撃たれる。

「おまえっ」

春時がひなに食って掛かるも、ひなは春時に短剣を差し出した。
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「鈴子ちゃんを恋人にしたいなら、津軽をいなくしたほうがいいよね?鈴子ちゃんの全てが欲しいなら、
殺すしかないよね。」

鈴子はひどい頭痛によろけて津軽の袖をつかむ。
彼女を気遣う津軽。
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兄…様…

「きっと津軽泣いちゃうね。見たかったんだぁ。」

「ひな…私が目的なら私だけにしろ!」

ひなと津軽が言い合っている間にも、じりじり詰め寄る春時。

「鈴子、何で記憶をなくしたのが俺じゃないんだろう。お前が昔の俺を忘れても、
俺が俺を忘れられない。ひとつか、全部か。もとから…俺にはそんな資格はないんだ。」

春時は持っていた短剣を自分に振り下ろした。

「春時兄様!!!!」


血がぽたぽた滴り落ちる。
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毎号毎号ハラハラさせられます…
え、鈴子は刺されちゃったの?
ようやく津軽への気持ちに気付いたのに…

次号休みとか信じられない…待てない…。



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