「この家が 今の私の帰る場所
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椿町ロンリープラネット tsubakicho lonely planet
やまもり三香


Story:
幼い頃母親を亡くし、父と2人で倹約生活をしきた女子高生、大野ふみ。
父親が作った借金600万のせいで、突然家を出ることに。


父がマグロ漁船で働いている間、ふみは父のツテで住み込み家政婦をすることになった。
奉公先は椿が見える、とても赴きのある素敵な家。
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「木曳野暁先生…小説家…」

キビキノ アカツキ…いったいどんな人なんだろう。
年老いた文豪を想像するふみ。

ピンポンを押しても返事がないので、戸を開けてみると…
玄関先で若い男が倒れこんでいた。

「!?!?し…死体!?」

混乱するふみの気配を察知し、男は突然起き上がる。
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「誰だお前」

「え!?あ、あの!!私今日からここでお世話になる大野ふみと申します!!」

「大野…ふみ?オイお前いくつだ?」

「え!?じゅ、16歳です。」

盛大に舌打ちする男。

「小娘じゃねぇか、めんどくせぇ。」

ん?この人…ちょっと失礼じゃないかしら…
ついてこいと言われるがままに、部屋に案内されるふみ。

「せ、先生は?木曳野先生は今どちらにいらっしゃるんですか?」

「…娘、何を言ってる?木曳野暁ならお前の目の前にいるじゃないか。」

ええええええ!
お互いにもっと年寄りを想像していた。

「こんな使えなさそうな娘なら、断っていた。くれぐれもオレの邪魔はするなよ。」

このひと、すごく嫌な人だ!!!
反発心に火がついたふみは、持ち前の家事能力で見返してやろうとはりきる。
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「いらん」

もーーーーーーー!
やり場のない怒りに身を震わせながら、2人の同居生活が始まった。


木曳野のことを少しずつ知っていくふみ。

夜遅くまで部屋にこもって仕事している…口は悪いけど仕事熱心な人。
いつも何かブツブツ言っていて、謎が多い変わった人。
でもそれはいつも真剣に単純に仕事のことを考えているから。
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…悪い人じゃないのかもしれない。
この家が、きっと今の私の帰る場所。


いつもの通り、洗濯物を干そうと庭へ回ると、そこに知らない男が立っていた。
手には、ふみの下着を持っている。

下着ドロボー!
…どうしよう、誰かに助けを…

ふみの頭に先生の姿がよぎるが、一生懸命仕事している様子を思い出した。

ダメダメ!先生に迷惑はかけられない。
ここは自分でどうにかしないと…!

「あ…の…な何してるんですか!?それ私のパンツですよ!返して下さい!」
手に木材を握って、下着ドロボーに立ち向かうふみ。

ドロボーはふみの姿をみて、さらに興奮した様子。
女子高生…はぁ…かわいいね。
近寄ってくる。
手を掴まれて、焦るふみ。

だ…誰か!
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木曳野先生…?

「~の野郎」
走って逃げだす下着ドロボーを、全速力で追いかけて捕まえた。
足の速さ…風の如し。

先生はふみに向かって怒る。
「だいたいあんな奴に向かって行くなんて、無謀にも程が…」

その場で膝を抱え込むふみ。

「…オイどうした?腹でも痛いのか?」

「…ごめんなさい。ちょっと今更怖くなってきちゃって…」

これぐらい1人でできると思っていたのに、あの時、すごくこわかった。

突然、チョップが降ってくる。

「!?」

「いいかよく聞け娘。お前はウチの家政婦だ。そしてオレはここの家主でお前の雇い主だ。
だからオレにはお前を守る義務がある。誰かと一緒に住むということはそういうことだ。」
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「わかったか。」

あの時、先生の声がした瞬間、私は今までに感じたことのないくらい安心したんだ。


無愛想で無頓着だった先生は、ふみを家族のように大切にする。
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天然ジゴロな先生にドキドキさせられる毎日。
次第に家族愛だけでは、物足りないと感じるようになっていく。




Character:
大野ふみ Fumi Oono
借金600万円抱える、16歳女子高生。
幼い頃母を亡くし、家事一般は全てふみの担当。何でも完璧にこなす。
今まで苦労してきたため、恋愛などしたことがなかった。
決して弱音などはかなかったふみだが、暁先生の前では気を許してしまう。

木曳野暁 Akatsuki Kibikino
有名な時代物小説家。28歳。
イケメンのため、女性から声をかけられることが多かったが、
付き合っても2、3ヶ月しかもたない。
人間として何かが欠落しているんだと認識し、人と関わるのを避けるようになった。
ふみとの生活の中で小さな幸せを見つけていく。
天然ジゴロな上に、恋愛に関してはとんでもなくにぶい。

金石悟郎 Goro Kanaishi
暁先生の編集担当で幼馴染。
暁の人柄をよくわかっていて、彼のふみに対する感情の変化をいち早く察知する。
2人の仲を発展させるために、わざとふみにアプローチして気付かせようとしている。
暁をからかうのが趣味。


Info:
マーガレットにて連載中。