※ネタバレを含みますので、閲覧にはご注意ください!!
 
(花とゆめ 2016年20号掲載)

足を痛めているコレットをひょいと抱きかかえ、寝室へと運ぶハデス様。
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恥ずかしいんですけど…

「ム…顔が見えん。」

コレットの額にコツンと自分の額を当て、顔をあげるように促す。
見えないとだめなのか…っ。少し動揺するコレット。

「…今日は一日針子と過ごしていたのか?」

「はい、色々助けてくれました。あっ私すまきにされてシャンプーしたの初めてです!」

「何を言っているんだお前は…」

コレットの部屋へ辿り着き、彼女をベットに横たえると、
ハデスは足の具合を尋ねた。

「へっちゃらですよ!明日にはフツーに歩けるかと!ホラこのとーり」

足を勢いよくあげるも、ズキっと鋭い痛みが走り悶える。

「布団かぶってじっとしてろ」

素直に布団にくるまって、じっとするコレット。

「明日の朝には歩けるもん…」

「急ぎたいのはわかる。だがお前が歩くのは何十キロだろう。隊商には荷車はないのか。」

「!…なくはないかも」

「なら明日車が見つかれば乗せてもらえ。なければ戻ってこい。」

「…はい」

ハデスはコレットをみつめながら、しゃがみ込みベットの脇に肘をついた。
少し間を置きながら、彼は訊ねた。

「…さっき驚いた…冥府は明るいのか」

「え?ガイコツとかまさにそうじゃないですか。私はあんなにうるさい骨は他に知りませんよ。」

「…そうだな」

「ハリーはにこにこしてたし、わんこはじゃれてたし、真ん中にハデス様がいて、なんか皆がきらきらして見えました。」

コレットの笑顔を見て、ハデスは何か納得した様子。

「…そうか…ふぅんそうか…明るいなんて言葉は私達に一番遠いものだと思っていた。」

ハデス様…。
コレットはベットから起き上がり、彼に向き合った。

「…家来は昔はもっと静かで、針子は…知っているだろう。部屋から出なかった。近頃の冥府はにぎやかだな。昔より今の方が皆生き生きしていてよい。」

ああそうか。驚きの正体がわかった。
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「お前が明るいと言ったことが、嬉しかったのかもしれぬ」

うれしかった…?
明るいって、そんなに遠い言葉だったの…?
ハデス様から「嬉しい」って初めて聞いたかも。
まさかこんな、なんでもない日に。

コレットはとても温かい気持ちになる。

なんにも考えずに言ったのに、何がこのひとの琴線に触れるのか、
わかんないなぁもうーーーー

ベットに顔を伏せたハデスを見つめて、とても幸せそうな表情をみせる。

「ハデス様、皆でご飯食べたくなったら、呼んで下さいね。喜んで行きますから。」

ハデスからは返事がない。
…あれ?
彼から穏やかな寝息が聞こえてきた。

寝落ち!

「ハデス様、もしもーし。ここで寝たら体痛めますよ~」

コレットの声にハデスはゆっくり目を開ける。
ん…

「あ…起きた?ハデス様…」

コレットを目に映すと、ハデスは吸い込まれるように彼女に覆いかぶさった。
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…っ

「ケル…あ、ちがう…ベロか…」

そのままコレットを抱きしめ、布団にくるまった。

ちがーーーーう!!
ハデス様、寝ぼけて犬と間違えてる!?ハァ!?

「ちょっと!?ちょ…」
起きる気配もなく、回された腕にぎゅっと力がこもる。
ハデスの大きな手がコレットの頭を捕え、ふわふわした髪に指が絡まる。

-----!!!

ぬ、抜けられないぞ…これ…
心臓が飛び出しそうなくらい、早鐘を打つ。

軽く混乱するコレット。
どうする、叩き起こすか。いや待て、それはそれで不眠発動しちゃったりしないかな!?
目がさえたとか何とか。ありそう!
薬師としては、それも困るっ。

いやしかし…っ

コレットはすぐ真横にあるハデスの顔に視線を移す。
そこには、いつもは見せることのない穏やかな寝顔があった。

ふとその表情に魅入ってしまうコレット。

ずるい…その顔ずるい…
なによ、わんこの夢でも見てるわけ?
わんこがいたら隣にガイコツもいるのかな。ハリーとカロンもいるのかな。
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そのままコレットも静かに目を閉じた。
夢の中で、ハデス様の周りにみんなが集まってわいわいおしゃべりしている。

ハデス様
ハデス様
なになにみんなでおしゃべり?
わたしも…
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目が覚めると、そこにハデスの姿はなかった。
朝なのか夜なのか、冥府ではわからない。
ベットから起きて立ち上がると、足があまり痛くないことに気がつく。

ハデスの部屋へ行くと、ちょうど着替えている所だった。
「あっ、お着替え中でしたかっ。こりゃ失敬。」

「よい、家来もそのうち起きてくる。」

てことは夜明け前か…と考えながら、ハデスに近寄るコレット。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

なんとなく気まずい空気が流れる。
口を開いたのはハデス。

「…よく覚えていないのだが、すまん」

やっぱり。

「もうっ、ハデス様わたしのことケルやベロと間違えて寝ちゃったんですよ?」

「まさか」
こめかみに手を添えて、思い出そうとするそぶりを見せる。

「ほんとうですぅ。なんですかなんですか。私はわんこと同じカテゴリですか。私のことモフモフだと思ってたんですかっ?私はそんな毛深くな…」

ハデスの大きな手がコレットの頬に触れた。

「すまん」

突然近づいてきたハデスの瞳を目の前に、頬を少し染める。

「夢を見ていた。家来たちとお前がいたんだ。…許せ」

ハデスの幸せそうな顔に、コレットまた心臓が破裂しそうだった。
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やっぱり楽しかった…
人間界に戻って明るい空を仰ぎながら、ハデスに想いを馳せるコレットだった。



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ハデス様がコレットへの恋心を自覚してから、距離が近くてドキドキします。
もうお互い想いが溢れ出てますね…
ちゃんと伝え合えると良いな。

花とゆめ20号の付録ドラマCD良かった!
前向きなコレットが可愛いすぎるよ。。
ハデスから加護をもらうデコチューシーンの焦り具合とか本当可愛い…
「え…え…いまなんかおでこに…え…デコ…に…え…」

コレット:矢作紗友里
ハデス:小野大輔
ゼウス:代永翼



新刊出ました!
無防備なコレットにハデスさまの想いが溢れる展開、たまらんです!