※ネタバレを含みますので、閲覧にはご注意ください!!

(花とゆめ 2016年19号掲載)

レオンはエスターの手を引き、部屋へと戻る。

「え!?私がとった部屋キャンセルしてしまったんですか!?」

「ああ、キャンセル待ちの客がいたので丁度よかった。」

「でもっ、それではまたレオンとノアにご迷惑を…」

「心配せずとももうノアの部屋には行かない。話したいこともある。今夜は一緒に寝よう。」
レオンは静かに笑みを浮かべながら、エスターを振り返る。

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新妻らしく、レオンの髪の毛をタオルで拭くエスター。
エスターは先ほど祭りで言われた言葉を思い出した。「婚約は解消しよう」
髪の毛を拭く手が止まる。

「あああ、あのっ。お別れの話は髪を拭き終わってからにしていただいても…」

「お別れ?」

エスターは目に涙を浮かべながら、消え入りそうな声でつぶやいた。
「婚約…解消の…」

「ああ、そうだった。あなたははっきり言わないとダメなんだった。」
レオンはエスターを抱き寄せた。

「あなたの覚悟はよくわかった。完敗だ。一緒に行こう。ついてきてほしい、我が妻よ。」

予想外の言葉にエスターは動揺する。

「えっ、あ…っ、へ…!?妻でいいのですか!?」

レオンはいじわるそうな顔で聞く。
「妻じゃなくていいの?」

「―――良くないです!妻がいいです!おつとめ頑張ります!よろしくお願いします!」
レオンは吹き出して、エスターの涙をぬぐう。

2人は自然に引き寄せられるように、口づけを交わす。
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レオンは止まらず、エスターの衣服に手を伸ばし、白い肌へと口づける。
すっかり肌蹴たエスターの胸元に手を寄せたところで、ドアが勢いよくノックされる。

「…残念、また邪魔が入った。」

「―――もうレオン…破廉恥です!」

「この程度で破廉恥とは心外だな。」

「!?」

レオンがドアを開けると、そこにはノアが。
「破廉恥です。」

「…。」

「お二人はご結婚前ですので、ふしだらな真似は」

「それはもう聞いたしわかっている。」

「わかっていらっしゃらないようなので。」

レオンは怒りマーク。

「おふたりとも覚悟を決められたならば、今夜はもっと大事なことがおありでしょう。」

レオンは少し曇った表情を見せる。

「…それも、わかっているとも」

エスターはバスルームで髪をまとめながら、話たいこととは何なのか考えていた。
寝室へもどると、ノアと話し終えたレオンがベットで待っていた。

「少し、昔話に付き合ってくれないか?」
エスターはうなずくとレオンの隣に腰かけた。

「あなたがウィンターソンの妻になるのなら、やはりこれは話しておかねばならない。」

「遠い昔に、人間と吸血鬼の間には大切な約束が交わされた。」

人間は吸血鬼に血液を提供すること。
吸血鬼は無闇に人間を襲わないこと。

「協定を結んだのは時の王家の方々だった。」
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「親睦を深めると言う名目で、昔からウィンターソン家当主一家と吸血鬼の王との間には、年に一度晩餐会が催されることになっていたんだ。」


あれは、俺の「晩餐会」デビューの夜…

「レオン様ー!あの子ったら何処へ行ったのかしら。」
小さいレオンがボールを持って、犬と無邪気に遊んでいる。
ふと、ボールが叢のなかに。
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そこにいたのは…

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その夜俺は、生まれてはじめて、吸血鬼に出会った。