※ネタバレ・画バレを含みますので、閲覧にはご注意ください。

Story
結婚(BELOVE 2017年5号掲載)

「結婚が決まったぁ!?」

藤島屋のから大きな声が聞こえてきて、
道行く人が何事かと見上げる。

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嬉々とした表情で、津軽と鈴に結婚の報告をする河内。

「二度あることは三度あるを抜けて、四度目をついに?」

津軽は少し呆れた表情で友人を祝福する。
鈴は驚きの表情。

「どこの女性」

「ひそかに通いつめてた芸者さん」

「ええっ」

「いやー正直反対されるかと思ったけど、”もう細かい事言っている場合じゃない、河内家の血が絶える” ”もうどうでもいいですわ”――って」

両親から見放された感がすごい。
しかし、河内はとても嬉しそう。

「これまでのお嬢様育ちのご令嬢とは違うから、鬼っ子たちにもビシッと!」

河内は新しい嫁が手茉莉・手瑠璃を黙らせた様子を思い出す。

”ちょっとやそっとじゃ認められませんわよ!”

”かまやしませんよ~小姑さんのいけずなんてそよ風ですわぁ”

”…手ごわい…”

「もう、頼もしすぎ!」

笑顔がはじける河内に、うんうんと頷く津軽。

「芸者さんはいろいろ揉まれてきてるからなぁ。お坊ちゃん育ちにはそのほうがよさそうだ」

「何はともあれよかったねーおめでとう。しっかり者の女性で安心だね!」

「うんうん、ありがとー。さりげなく、僕が頼りないって言われてるけど」

鈴の言葉をいつもの通り受け流し、
河内はさらっと大事なことを聞いた。

「で、二人はいつ結婚するの?」

え…

2人は顔を見合わせる。
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河内は怖い表情で津軽に迫る。

「津軽はすでにまずいからね!…というかおじさん、おばさんよく許してるよ」

「近い」


川沿いを散歩する津軽と鈴子

「またいちだんと寒くなったね~肩に力が入るよ」

「空気が冷たい」

「こう寒いと朝起きるのが、つらくなるんだよね、手足の先がかじかんでね」

「私、朝はわりと大丈夫かな」

「昔から、起こすの君だしね…」

鈴子はそんな会話は上の空で、先ほど河内に言われたことを考えていた。

実際のところ 津軽はどう思ってるんだろう
「本来の結婚なんて、家と家の結びつきだから」――とか言いそう

津軽は結婚とかしそうになくて、
私もこのまま一緒にいられれば十分って…

でも…

結婚…かぁ…

鈴子の妄想が始まる。

”私の妻です”

”も――っ、今は仕事中。助手でしょ!”
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言わない 言わない

鈴子は突然ぶんぶん手を振っている。
津軽はそんな彼女の様子を飽きずに眺めていた。


何考えてんだろ?
百面相だ。

そんな彼女をふと愛おしく感じた。

抱きしめたくなって困る…

触れそうになった手を、何とかとどめる。
でも人通りあるからな…

「寒くはない?」

「津軽さっきから寒さの話ばかり」

「・・・・・・寒いから、手を・・・つなごうか」

「!」

鈴子の頬がさっと朱に染まる。

「はい」

自然に指が絡まって、恋人繋ぎになる。
鈴子は胸の高鳴りを隠せずにいた。

津軽はまえとちょっとだけ違って…
私はそれだけで胸がいっぱいになる――
津軽は少しでも 考えてるのかなぁ


春時との食卓にて、

「それで藤島はなんて言ってるんだ」

「え?津軽?なんの話?今は河内の結婚の話を…」

「おまえとの結婚の話はしてないのか」

慌てる鈴子
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「もっとも、一回や二回言ってきたところで、簡単に承諾するつもりはないけど!」

春時はおそらくかなり本気で言っている。
佐之次が助け舟を出す。

「春時さま…河内さんの話が先にあったからまだなだけで、きっと近いうちに言ってきますよ」


来るのかなぁ

あの津軽だよ?

あの津軽がそういう形式にこだわるかな…
年を考えるとすぐにでも…ってなるものだけど

鈴子は急に胸がドキドキしてきた。
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―――って思ったけど、いっこうにそういう話にはならなかった。

手は繋ぐけど…いつもの日常会話の日々。

別に大丈夫、両想いには変わらないし
もう少し、先でいいもの

とある日、
鈴子が津軽の家へ行くと、彼は襷をして頭には三角巾。

「大掃除…?」

「年末だと何かと忙しいから、今のうちにって」

「・・・・・・・」

これじゃあ、そういう話にはならないよね…
鈴子は少しため息をつくと、自分もさっと袖をまくった。

「手伝うね」

「ちょっ、まくりすぎ!」

津軽は慌てて鈴子の腕を掴むも、ぱっと離す。

「…腕まくりするような作業はさせないよ。だいたい寒いだろ」

え~でも袖じゃまなのに…とぶつぶつ言いながら、
掃除に取り掛かろうとするも、足元も物だらけで裾が引っかかる。

「あーっ、もう足の踏み場もないったら、裾ひっかかる」

さっと、裾をまくりあげた。

「わ――っ、足っ、足っ」

「なんなのさっきから」

「―――いや、なんか…目のやり場に困るから…」
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「色が白いって意味で言ったのに」

「もっとたとえがあったでしょ!私、台所のほうかたしてくるっ」

ぷんぷんと台所へ向かう。

もう津軽ったら!失礼なんだから
そう言いつつも、赤面する鈴子

と、そこに元気の良い声が聞こえた。

「こんにちは~津軽いるの~?あらぁ?大掃除?」

この声、おば様!!
鈴子は喜んで、津軽のいる書斎へ向かった。

鈴子が声をかけようとすると、2人のやりとりが聞こえてきた。

「それはそうと、河内君から聞いたわよ!鈴ちゃんとうまくいったって!それで結婚は?どうするの?ご挨拶は?そのへんちゃーーーんと考えてるんでしょうね」

「ああ、そういうの!私はそういうつもりないですから!」

あっ…
鈴子は少し傷ついた表情を見せる。

「あなたはもうすぐ結婚結婚って、それしかないんですか。少し私の自由にさせてください!」

「バカッ、自由にさせてこの体たらくじゃないのよ!」

ふと鈴子の気配に気がつく2人
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「・・・・・・・・・・・」

「え―――っ?追っかけないの!?ダメな男ねェ~~~~」

津軽は母親の反応にうんざりな表情で、ため息をついた。

「言っときますが、あなたのせいですからね」

「あんたが言ったんじゃないの!」

津軽はごそごそと何かを探し始めた。

「えーっと、確かこのへんに…」


鈴子はひとり涙ぐんで、庭を歩いていた。

予想してたのに…
思っていたより ずっと胸が痛い

しょんぼりしている鈴子にシロが寄って来た。

不自然に出てきちゃって…失敗…

私…本当は…
津軽に言って欲しかったんだな…
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振り返ると、そこには津軽の姿が。

「シロの声がしたから、すぐわかったよ」

「・・・・・・」

二人の間に微妙な空気が流れる。

「今さっき言ってたことは違うから!」

「違うって何が?私はべつに…」

「だからね、母の手前ああ言ったというか――家にこだわりたくなくてね。順番や予定が私なりにあって…だから誤解しないでほしいんだけどね…それで…」

なんか…ムカムカしてきた…
鈴子の顔がみるみる膨れる。

私…そんな我慢することないんじゃない?
文句言っていいんじゃない?

「津軽まわりくどい!言うことあるならはっきり言って!」

「そ…そうだね。はい…そうします」

沈んでたと思ったら、怒り出した…

「よろしい。じゃあ、どうぞはっきり!」

鈴の表情に吹き出す津軽

「可愛くてまいったな」

「!」

鈴子は心の中で、ごまかされないもんっと照れる自分を抑えた。

「予定狂ったけど、まあいいか」

津軽は鈴子に小さな木箱を差し出した。

「はい、これ。君に」

そっと開けると、中から小さな光輝くものが…
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「海外にいた時に知ったんだけどね。結婚の約束に指輪を渡す風習があるそうだよ」

赤い…糸…みたいな…?

「でも、小指にはちょっと大きいみたい…」

「ああ、違うよ、これは左手の薬指にするんだ。貸してごらん」
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津軽は静かに目を閉じた。

「命と心にかける約束のようだね」

命と…

心の約束…

「思ってることを言うよ」

シロも静かに2人を見守っている。

私の―――
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今よりもっと深い深い縁を作りましょう

桜の花の頃、私は花嫁になる



Comments
わ――っ!
プロポーズきました!!
津軽、鈴ちゃんおめでとうございます!

今号、糖度高めで書いていて恥ずかしかったぁ…
抱きしめたくて困る…あたりから、もう…
津軽が照れてるとか、どうしようかと。
らぶらぶでした~満足です。

私の妻になってください。
ってプロポーズ個人的には好きでした(聞いてない)
この時代では珍しい指輪買ってくるあたり、津軽さすが。

もう二人は末永く、幸せでいて欲しいです。

河内、本当に良い仕事しましたね。
津軽はいい友人を持ったもんだ。
そして、ささやかな疑問…春時の了承は得られたのだろうか。笑
認める気、さらさらない感じが面白かったです。

いよいよ、残すところあと3話かな?涙
好きな連載が終わってしまうとは…
とても悲しいですが、残りを思い切り楽しみに待ちます。

10巻発売されましたね!
津軽と春時のツーショット表紙新鮮でした~
最終巻は津軽と鈴子のツーショットかな?
こちらも楽しみです。

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