※ネタバレ・画バレを含みますので、閲覧にはご注意ください

(花とゆめ 2017年4号掲載)

「エスターさんにお話しがあるのですが、いらっしゃいますか?」

マクドナルドが部屋へと訪ねてきた。
エスターとエヴァは丁度、数刻前に戻って来ていた。

「ここにいるわよ。」

「少しお時間よろしいですか?」

ノアは不安げな表情で、同伴を申し出た。

「エスター様、私も」

「大丈夫よ、ノア」

エスターはマクドナルドに連れられ、監禁部屋を出た。

なんでもいい。
とにかく、この事態を打破する糸口を見つかるんだ。
私にできることを探すんだ。
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「信じてらっしゃるのですね、素晴らしい愛の力だ」

マクドナルドは優雅にお茶をすすりながら、余裕の笑みを浮かべた。

「しかし、いくら信じても、我らが王が息絶えれば、ウィンターソンの処刑は免れませんよ」

「では、ギルモア侯爵はまだご無事なのですね!?」

エスターは心の底からホッとした様子を見せた。

「やれやれ、あなたもウィンターソンのご当主も、自分のことより、まず敵の王の心配ですか。不思議な方々だ」

レオンもギルモア侯爵の心配を?
エスターは少し目を輝かせた。

「我らが王は、ここ最近血を摂取していなかったため、吸血鬼としての再生能力が著しく低下しているのですよ。残念ながら、もう長くはないと思います。」

「…本当に残念だと思っているのですか?マクドナルドさん、あなたの本心がわかりません」

「それをお話しするために、こうしてご足労を願ったのですよ」

マクドナルドは少し間をおいて、口を開いた。

「エスター嬢、私と手を組みませんか」

…え?
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「人間達が動物を食料としているように、人間は私たちの食料であり、そこにそれ以上の感情など無用、私は彼のその思想に賛同し、右腕としてお仕えして参りました。私たちは、このハイランドで人間を狩り、平和に暮らしていたのです。しかし、ジェイル様は19年前、メグという女性に出会ってしまった。あろうことか、人間に恋をしたのです。」

マクドナルドは頭を抱えた。

「彼は、人間を狩ることにためらいを覚え、イングランドの吸血鬼との和解…そして、ハイランド吸血鬼の解体を考え始めた。まぁ、その話は今のところ我々が、全力でお止めしていたのですが…とにかく彼は変わってしまった。メグさんが消息をたってからは、仕事はきっちりこなすものの、積極的に狩りには出なくなり、死亡の知らせを聞いてからは、ほとんど城から出ず、食事すらとっていない。」

マクドナルドの声はいっそう低くなった。

「このハイランドには密かに吸血鬼によって、構成されている氏族がいくつかありましてね、彼らと十分に話し合った結果…亡霊などには速やかに退いてもらい、新たな王を立てるべきだ…という結論に至りました。」

「…では、ギルモア卿に毒を盛ったのは、やはり…」

「そういうわけで、我らは死にゆくジェイル様に代わり、緊急にプリムローズの氏族長、および新しいギルモア侯爵を立てねばなりません。」
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「あなたですよ、エスター嬢」

エスターは驚き立ち上がった。

「私が、侯爵!?女ですよ!?」

「ここはスコットランド。問題ありません。素敵じゃないですか女侯爵。あなたはハイランドの吸血鬼の女王となる。そして、その夫となるのはこの私です」

マクドナルドはエスターにひざまずいた。

「政は私がやります。あなたは何もしなくて、良いのです。その存在だけで、尊いのですから。」

「あなたが狙っていたのは、それなの?」

「ええ、私は先頭にたって、皆を引っ張るタイプではないので丁度いいです」

「…それを聞いて、あなたの妻になることを私が了承するとでも?」

「しますよ、あなたのその返事ひとつに、ウィンターソン当主の首がかかっているのですから。彼を救うことができるのは、あなただけなのですよ、エスター嬢」

エスターはまっすぐに見た。
探すんだ、私のできることを。


マクドナルドにエスコートされたエスターは、レオンの前に現れた。
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「だからお別れね、さようならレオン」

レオンは苦しそうな表情でエスターを見つめる。
エスターはレオンの表情を瞳にうつすと、ふいと目をそらした。

「新女王のお披露目の式を3日後、吸血鬼の氏族長たちを招いて行います。それが終われば、この新女王様が釈放してくださるでしょう。では…」
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エスターとマクドナルドは、牢から去っていった。


「…あなたは演技の才能がなさすぎです。なんですか、あの棒読みのセリフは」

「へたくそで悪かったですね!」

「覚悟は決まりましたね?」

「そんなの最初から、決まってます。あなたも、私とのふたつの約束、守ってくださいね」

エスターが要求したのは、ウィンターソン当主の釈放と、父の最期を看取ることだった。
彼女は決意の表情で、空を仰いだ。


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エスターが女侯爵になることが、マクドナルドの目的だったのですね…
レオンを守るために、マクドナルドと結婚することを決意したエスター、
何か考えがあるようですが…うまくいくといいな。

レオンもこのままやられっぱなしではないはず。
クリスがどう動くかも気になります。


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