※ネタバレ・画バレを含みますので、閲覧にはご注意ください

懐かしい顔 (花とゆめ 2017年4号掲載)

「オギ…さん?ハク知り合い?」

薄暗い部屋でヨナはオギと呼ばれる男に視線を向けた。

「…空都裏町の情報屋です。俺はガキの頃会ったきりだが、たぶん今でもスウォンと繋がってる」

「おいおい、何言ってんだ、俺はスウォンなんて知らな…」

「スウォンだって知らないフリして、会ってるんだろウォンと」

オギの額に汗がにじむ。

「この時期、真国の情報集めてるのはなぜだ?スウォンの依頼だろ?俺見て逃げ出そうとしたのも、俺や姫さんの消息を耳にしてたんじゃねぇか?」
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「…俺にだって知らん事くらいある。生きていたとはな…ハク将軍…ヨナ姫も…」

「…なぜ死んだと思っていた?ハクはイル王を殺害し、ヨナ姫を連れて失踪…これが世間に流れている噂だろ?オギさん。あんたは、こう考えていたんじゃないのか?イル王を殺したのは本当はスウォンで、ハクとヨナ姫は殺されたってな」

「待て!」

オギはうなだれたまま答えた。

「…一説として考えていただけだ…確信してたわけじゃない。でも…まさか…。くっ……ヤバそうな案件には踏み込まねぇようにしてたのに………」
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「……それは、イル陛下の復讐の手助けを俺にしろと…?」

「違うわ、今回の事は私怨とは関わりのない、もっと重大な話なの。今頼りはあなたしかいない。あなたはただ、私とスウォンを引き合わせるだけでいい」

ヨナは語気を強めた。

「どうか聞き入れて欲しい。高華国と真国のために」


捕らわれている、四龍たち。
ミザリは包帯を持って、檻の前に現れた。

「包帯これで足ります?」

「うん…ありがとう」

ミザリはにやりと笑みを浮かべた。

「では、そろそろ僕のお願いも叶えてください。ゼノさんの生き返るところが見たいです。腕を切り落とすのもいいな、くっつくんです?」

ユンが顔をしかめる。

「そんな願い…」

「わかった。手出すから斬って」

「ゼノ…っ」

ゼノが檻から手を出した。

「ちょっと待った」

ゼノの腕を剣で斬ろうとした時、ジェハが止めた。

「それよりもっと面白いものを見せてあげるよ」

ジェハは自分の靴を脱ぎ始めた。

「さあ、刮目せよ♪」

「えっ、ジェハまさか…禁断の…」

しばしの間…
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「すごく面白かったです!いいなぁどうやって巨大化させるんです?僕も頑張れば、大きくなります?」

ミザリは興奮気味でジェハに尋ねるも、返事は返ってこない。

キジャはジェハの息があがっていることを、見逃さなかった。
能力を使うことで、身体に負担がかかったのだ。

「そなた、肉料理を持ってきてくれぬか?」

ミザリは首を傾げた。

「肉料理です?」

「ジェハの血が足りぬ」

「できれば牛とか鳥の肝臓を」

ミザリはぶつぶつ言いながらも、準備へと向かう。
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ミザリはシンアが寒そうにしているのを見て、毛布も用意した。

「毛布です。凍え死なれても困りますし」

「あ、ありがと」

「じゃあ、ゼノさんが生き返る所はまた今度」

鼻歌を響かせながら去っていく姿を、ユンは複雑な表情で見送った。


数日後、緋龍城

「ねぇ、スウォン陛下、この建国神話の本、ちょっとお借りしていい?」

リリが陛下の執務室で訪ねた。

「いいですけど、リリさんはいつまで緋龍城に滞在されるんです?」

「しばらくよしばらく。前から聞こうと思ってたんだけど、陛下はどうして私の顔をご存知だったの?仙水の町でお会いした時、初対面だったでしょう?」

「ああそれは…后にどうかと薦められました」

「は!?」

リリは顔をゆがめる。

「リリさん、嫌さ加減が顔に出てますよ」

そこへ、スウォン宛ての文が届いた。
目を通すと同時に、スウォンの表情に一瞬緊張感が走った。

「ねぇ、今度オギの所に行くときは私も連れてって。この間真国の話聞きたがってたじゃない。真国で何か起こってるの?」

スウォンは文に視線を落としたまま、動かない。

「どうしたの?」

リリの声に、紙をくしゃっと丸める。

「いえ、オギさんのところは駄目です。リリさんは騒がしくするでしょう。」

「しないわよ!」

「はい、本を持っていって良いですから、お帰りください。」

リリが帰る道すがら、一人の青年とぶつかった。

「ごめんなさい!」

青年は深々と頭を下げると、非礼を詫びて陛下の元へと歩いて行った。
動きが少しぎこちない。
怪我をしているのだろうかと、ぼんやり思いながらリリは彼を見届けた。


空都の城下町、オギの元でヨナ達はスウォンを待っていた。

「ウォンには文を出しておいた。運が良ければ数日のうちにウォンは来るだろう。今回は事が事だからな、状況を少し記しておいた。悪いがあんたらがここにいることも書いたぜ」

ヴォルドは異論を述べた。

「そんな事をしたら、王は大勢の武装兵を連れてここに来るのでは!?」

「ウォンが現れて仇討ちが始まったら、俺も罪人になっちまうんでな。まあ心配するな、この周辺は仲間が大勢見張ってる。何かあったらすぐ撤収すればいい」

ハクが口を開いた。

「大丈夫だ。あいつは俺や姫さんが生きていることを知っている。スウォンだけじゃない、ジュド将軍やグンテ将軍もだ。俺がイル陛下を殺害したと思っているなら、あの2人は即俺を捕らえなきゃならない。だが、そうしない。それは、あいつらは、イル陛下の死の真相を知っているからだ。」
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「ヨにゃん、ハクにゃん。とりあえず、喧嘩売る奴が近づいたら殴ればいいんだろ。俺、外で見張っとく」

アルギラは、少し緊張感に包まれた空気を和ませた。

「大丈夫ですか、姫さん」

「うん…必死でここまできたけど、私、今、空都に…緋龍城の近くにいるのね…」

ヨナは、もうずっと昔のように感じる、あの日を思い出していた。
大好きなスウォンが、自分の父を目の前で殺した日。
あの日から…こんな形でここに戻って来るなんて、思ってもみなかった…

オギは姫に視線を向ける。

「…忘れてねぇぜ、小さなお姫さんを探して町中、皆で走り回った事をよ」

「…ありがとう、でも私あまり覚えてなくて」

「そりゃそうだな。俺が酔ってウォンに酒ぶっかけて、チビ雷獣ににらまれたり…」

オギはふっと表情を緩めた。
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視線を落としたまま、少し悲し気な表情になった。

「信じられねぇよ。あんなに仲良かったお前らが…こんな事になるなんてよ」

ハクとヨナは表情を無くして、立ち尽くしていた。

それはハクも私も、あの晩からずっとずっと考えて
答えなんか、出なかった。

でも、今は全て忘れる


「おい、ウォンが来たぞ」

ヨナの心臓が、ドクンと高鳴る。

四龍やユンが待ってる
真国の苦しみや、タオ姫の想いを…高華国の王、スウォンに伝えなくては。

扉が開き、一人の男性が入って来た。
オギが立ち上がる。

「ウォ…いや陛下っ、すみません、こんなことになってしまって…」

男性は、頭の被り物を外した。

「…お久しぶりです。ヨナ姫様、ハク将軍。スウォン様は来られません。」

その顔に、ヨナとハクは驚きの色を見せる。

「あなたは…」
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ミンス…!!!!!!
生きていたんですね、良かった…
思いもよらぬキャラの登場に、驚きました。

でも、何か表情が気になります。
ハクとヨナの唯一の味方だった彼が、スウォンに仕えているように見えました。
彼はどう動くのでしょうか。

四龍の方も、少し動きがありそうですね。
すっかり四龍の能力に魅せられたミザリが、味方するんじゃないかな…

まだまだ、目が離せない展開が続きそうです。


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暁のヨナ 21 (花とゆめCOMICS)
草凪みずほ
白泉社
2016-08-19