※ネタバレ・画バレを含みますので、閲覧にはご注意ください

(LaLa2017年2月号掲載分)

辺りはすっかり闇に包まれ、冷たい夜風が吹いている。
騎士団の基地にて、ゼンはタリガと向き合う。
そこに、騎士団の仲間がやってきた。

「殿下!ご報告したいことが!」

「…少し待っていてくれ」

「はい」

ゼンはタリガを置いて、その場から少し離れる。
報告を聞くやいなや、表情が曇った。

「…タリガ殿、トウカ殿が基地に着いたそうだ」

タリガは咄嗟に反応できなかった。
少し、間を置いてようやく言葉を口にする。

「兄…上が……?」

「ベルガット家の貴殿ら3人を……王城へ移送する」

ミツヒデが主犯であると証言したトーズ家の者を調べたところ、
証言の内容自体をトーズ家が仕立てたものだと分かった。
そのトーズ家とつながっている可能性があるベルガット家も調べる必要がある…という判断だった。

「…詳しい話は城で聞ける。行こう、ツルバ殿が戻ったら出発だろう」
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ゼンはタリガの気配が変わったことに気がついた。
タリガと別れてから、ゼンはトウカと接触した団長に聞く。

「ミツヒデの解放をとどまるように、トウカどのが言ってきたのか?」

「ええ、トーズ家が何をしたかは知らないが、自分の家の者が襲われたのは事実なのだから、動機があると判断された者を解放するのには賛成できない…自分たちと同様に城に連れ、調べるのが筋ではないか……とのことです。」

「…ベルガット家が本当に無関係なのだとしたら、当然の主張だな」

ゼンは眉をひそめる。

ミツヒデの拘束が長引くと何か都合がいいということか…?
だとしたら、木々との縁談が意味するものと…ミツヒデから剣を奪うことで何を得られる…
ゼンは何かに気がつき、一瞬固まった。


「剣はこちらで預かる、しばらくはこの部屋に」

騎士団に連れられ、タリガは兄のいる部屋へと向かう。
彼は気付かれないように、胸元から出した小さい子袋を、扉の前の火の中へ放った。
そのまま、部屋へと入る。
火にくべた眠り薬が、警備の兵を眠らせる。

「兄上…」

「私を陥れるために、随分と頑張ったようだな。一人になっても続ける気か、タリガ」

氷のような冷たいまなざしでタリガを射貫く。

「…ツルバがどこにいるか、知っているのですね」

「ああ、セイラン伯に会うためにこんな東にまで、出向いたというのに、仕事が増えた。始末したのは私ではないがな」

「始末…?一人がここに残っている可能性がある以上、兄上は殺さない。従わせるために」

「私に牙をむいて、生きていられるつもりなのか?」

タリガの心臓がドクンと跳ねる。
兄のまとう空気はより一層冷たくなった。

「私をどうしたかった?タリガ…」

トウカは一歩一歩ゆっくりとタリガに近づく。

「お前たちが当主になろうとでも考えたか、少し外に出ただけでベルガット家の者としての役目も忘れたか?」

「ツルバが戻らなければ…ベルガット家は終わりです」

コツと兄の靴が音を立てる。

「終わり?」

「兄上をおとす証拠は俺が持っています」

「どんな」

「…俺たちの手の者をトーズ家に使用人として送り込み、手紙を持ち出させました。彼らは兄上に切り捨てられた時の保険のつもりだったのでしょう」

「それが今、お前の手元にあって、私からすべてを奪いたいのなら公にすればいい」

タリガの額から汗が落ちる。
トウカは一瞬たりとも顔色を変えることなく、タリガの頭に手を伸ばす。
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タリガはぎりっと拳を強く握り、歯を食いしばる。

「…そうです。全てを渡す代わりに、ツルバを返してください。」

「全て済んだらそうしよう。お前たちの仕事が完璧だったことで、あの愚図のもとに何の証拠も残らず、結局ベルガット家は無傷なのだから誉めてもいい」
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タリガは小さくつぶやいた。

「…………やめろ…………」

兄はギロリとタリガをにらむ。
額に汗をにじませながらも、彼は叫んだ。

「やめろ!あの方は………!!」


突然、ゼンと騎士団の団長の元に知らせが入る。

「団長!団長!殿下!!今…火の手が上がっていると報告が…!!」

「!?」

「また丘でか!?」

「いえっ、この基地の中です!!」
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「オビの話では相当腕の立つ集団が今回の件に関わっている。隠密も得意とするところ、やってのけるかもしれん」

ゼンは剣を抜いて、ベルガットのところへ向かった。

「侵入者だっ!」


辺りが騒がしくなってきたことに気がついた、タリガ。
別れ際にかけられた、ツルバの言葉が頭をよぎった。

"俺が間に合わなければ、お前に任せる"

部屋を出る際、兄に呼び止められる。

「片割れをあきらめるか、タリガ。お前たちには出来はしない、昔から一度もな」

タリガは歯を食いしばり、そのまま扉を勢いよく開け飛び出していった。

走りながら、幼い頃の約束を思い出す。
雪の中、幼い片割れが目に涙をためて叫んでいる。

”絶対、殺されないでくれ”

「ツルバ…!!」


ゼンが侵入者と剣を交えていると、突然彼の戦いを止める者が現れた。
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「殿下…!あなたは闘わないでください」

「―――剣を持っているのならば、ここを守る役目がある。誰が仕掛けたのか、知る役目もな」

ゼンが眉根を寄せて、厳しい表情をする。

「ミツヒデ・ルーエンの誇りを踏みにじる為のものだとしたら、尚更だ」

ゼンのその表情を見て、瞳を揺らすタリガ。
涙をこらえて俯いた。

「…………だから……だからですよね、あなた達のいる場所に……光が通るのは…」

ゼンの瞳も大きく揺れる。

「目の前にあっても、今も昔も、俺とツルバはあの光景にひざまずくことはできない。ですが絶対に消されるわけにはいかないと言ったら、伝わりますか」
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ゼンはタリガの剣を、自らの剣で振り払った。

「失いたくないものを数えるなタリガどの、身動きが取れなくなるぞ。二人の事情は知らない、だが、今話したのは、タリガ殿とツルバ殿には願いがあるということじゃないのか」

ゼンは、彼の瞳をまっすぐに見て告げた。

「だったら、それは枷ではない、進むためのものだ」

辺りに光が差し込んだ気がした。

「前をみろ、タリガ殿」
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タリガの瞳に光が差した。
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ゼン素敵な言葉をかけますね…主はやはり違う。

どうか無事に収めて欲しい。
ミツヒデの誇りが傷つくなんてことあってはならない。
タリガやツルバも一緒に守ってくれると信じています。

次号お休み…残念です。



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