※ネタバレ・画バレを含みますので、閲覧にはご注意ください

(花とゆめ 2017年2号掲載)

ああ、これは、俺への罰か

レオンは昔を振り返る。

あの惨劇の夜から、レオンは伯爵家を立て直し、寄宿学校に通い、父の爵位を継ぎ、再び公爵閣下であるクリスの前にたてるようになるまでは、実に4年以上の歳月が過ぎていた。

「やあ、レオン。君もとうとうヴァレンタイン伯爵だね。おめでとう」

クリスは昔と変わらない風貌で、レオンに笑顔を向けた。

「何年ぶりかな?背も伸びて凛々しくなったね」

「……クリス。私はあなたにお尋ねしたいことがあって、ここまで来ました。あの夜、私は炎の中にあなたを見た。あの愚行は本当にあなたの手によるものだったのですか」

「はは、やっぱりそう来たかぁ」
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クリスと過ごした楽しい日々の思い出が、走馬灯のように彼の頭を駆け巡った。

「そう…ですか…それを聞けてすっきりしました。これで迷うことなく、あなたへの恨みを糧に生きてゆくことができます……ご機嫌よう、ギルバート公爵閣下」

あの日、俺はクリスと決別した。
クリスの後ろ姿がひどく寂し気だったことにさえ、気付かずに。

あの襲撃がギルバートの仕業でないなら、なぜ奴はあのとき否定しなかったのかわからない。だけど、結局クリスを信じ抜くことができなかった。これは俺への罰なのか。

レオンは冷たい牢の中で、ぼんやりと天井を見つめていた。
ガチャ、と扉の開く音がする。
ずいぶん軽い足音だ…女か子供…

「レオン?」
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「レオン…!ああ…本当に会えるなんて…」

エスターはポロポロ涙をこぼした。
牢やの鉄格子に捕まり、その場に座り込んだ。

「よかった…ご無事で…」

「何故ここに…あなたは怪我はないか?」

「きゃっ!血が…!」

「ああ…そういえば蹴られたな」

エスターはレオンの口元の血をハンカチで拭きとる。

「痛いですか?」

「口の中が切れていてね」

「外もあざになってます。私の大切なレオンになんてことを!」

ぶふっと吹き出すレオン。

「私なにか変な事言いましたか?」

「いや、かわいいことを言った。なんでもない。あなたの顔を見たら妙に安心したんだ」

エスターは牢の中に手を付けてない、食事を見つける。
敵の施しなど受けないと頑なに食べないレオンを叱りつけた。

「食べなきゃだめです!」
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「ああ…まいったな、愛しいあなたを抱きしめることができない。今ほどこの鉄格子を憎く思ったことはないよ」

「すぐに出られます」

エスターはレオンの手をぎゅっと握る。

「…あなたは信じてくれるのだね。ギルモア侯爵に毒を盛ったのは俺ではないと」

「そんなの誰も疑っていませんよ!私はみんなを代表して真実を聞きに来たのです。いったいあの時何があったのか…」

「そうか…ありがとう。正直俺もまだ全てを把握したわけじゃないが。おおむね見えてきたよ。今回の事件はハイランドの吸血鬼の王、ひいてはイングランドの吸血鬼の王への叛逆…アーサー・マクドナルドとその一派によるクーデターだということだ」
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「いまからでも遅くはありません」

外からエヴァの呼ぶ声が聞こえた。

「エヴァが見張り番のひとの注意をそらしてくれてるんです。このお城の誰かが手引きしてくれたんですよ」

「なんだって?」

「よくわかりませんが、ハイランドのひとたちも一枚岩ではないのかもしれません。では、私は戻って今のレオンの話を伝えます。みんなで必ず助けに来ます。だから、ちゃんとごはんを食べて、あったかくしててください。ご自分を大切に、貪欲に生き抜いてください」

エスターはレオンに毛布を掛ける。

「あなたを必要としているひとたちがいっぱいいるんです。わたしだって…あなたが必要です。」

エスターは彼に手を伸ばし触れた。

「あなたが大好きです。失いたくありません」
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「あああ、あのっ、私をお嫁さんにしてくださる約束ですからねっ、死んじゃだめですっ。でっ、では」

エスターは顔を真っ赤に染めて、バタバタ出ていった。
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ああ、だが…おかげで目が覚めた。

「…ああ、死んで…殺されてたまるか…お前だけは許さない。アーサーマクドナルド」


ノア達がいる部屋に、アーサーは突然現れた。

「失礼、エスターさんにお話しがあるのですが、いらっしゃいますか?」

アーサーはにっこりとほほ笑んだ。

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エスターかわいい…

アーサーの狙いは何なのでしょう。
エスター…なのか?
レオンも生かしているし、吸血鬼の王へのクーデターってことは、
クリスの大事な人を人質にでもするんでしょうか。


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