「何と引き換えにしても、一緒にいたかった」
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Story
女子高生の桃園奈々生は、ギャンブル好きの父のおかげで、慎ましい生活を余儀なくされていた。
ある日、突然、父が借金を残して旅に出てしまう。家を追い出され途方にくれる、奈々生。

「…お腹すいた…これからどうしよー…」

公園でうずくまっていると、どこからか激しく吠える犬の声が聞こえた。
ふと目をやると、木に登った男性が犬に吠えられ怯えている。

「誰か~~~っ、その犬をどけてくださーいっ」

奈々生はあっという間に犬を追い払った。

「大丈夫ですか?」

「すみません、犬が苦手なもので…久しぶりにこの町に帰ってきたのですが、途端犬に絡まれるなんて…」

人の良さそうなその男性は、丁寧に礼を述べる。
奈々生は彼の優しさに、つい身の上話を始めた。

「そうですか…お父さんが家出を…。恥ずかしながら、私も家を捨てた身なのです。あれから数十年…家の皆はどうしているだろう。…巴衛なんかは私の顔を見た途端襲ってくるに違いない」

「それでもいいじゃないですか。帰る家があるって幸せなことですよ」

「奈々生さん…では、あなたに私の家を譲りましょう」

突然の申し出に、混乱する奈々生。
え…家を譲る…?
男性は奈々生に近づき、額へと手を伸ばした。
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奈々生は戸惑いながらも、彼の記した地図の通り歩みを進める。
他に行く当てもないし…野宿するくらいなら騙されたと思って行ってみるか…。

地図の場所へたどり着くと、そこは山の中にある暗い廃神社だった。
カラスがギャアギャアと、奈々生を責め立てる。

「騙された…もう大人なんか信用するもんか…」

奈々生がうなだれていると、突然辺りに青い炎に包まれぼんやりと声がした。

「!?」

お化け!誰か助けて!
奈々生は全力で神社の本堂に駆け込み、戸を閉める。
何か気配が…
本堂の中にゆらりと浮かんだのは…狐の耳としっぽを持つ青年の姿だった。
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よ…妖怪神社ーーー!?

ミカゲが失踪し20年間、この廃神社を守ってきたのは土地神の神使、妖狐の巴衛だった。
ミカゲは人ではなく、土地神。
奈々生は奇しくも、その主の座を引き継いでしまったのだ。

巴衛は人間の女・奈々生が自分の主となることが、非常に面白くない。

「こいつが神だと?こんな小汚い娘に何ができる!?せいぜい賽銭の勘定か庭の草むしりがいいところだろう!!願い下げだ!!」

奈々生と巴衛はギャーギャーと言い争う。

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巴衛の心無い態度にカチンときた奈々生は、もう家もない街へ帰ろうとする。
社に仕える鬼火童子の虎徹と鬼切が慌てて、土地神を引き留める。

「奈々生さまーっ、お待ちください!行かれてはなりませぬ!巴衛どのにはなんとしても神使になって頂くのです。巴衛どのに神使の契約を結ばせれば、巴衛どのは奈々生さまに絶対服従」

「絶対服従…そうなの…?」

「はい、それも土地神の能力の一つでございます。」

絶対服従…それは、いいわね…

「…ちなみに、どうやったら神使にできるの?」

「簡単でございます。奈々生さまが巴衛どのに口付けをすれば良いのです。」

固まる奈々生。
恐ろしい…アイツら私になんてことさせようとしてたワケ!?
奈々生は彼らをうまく巻いて逃げるも、妖怪がうようよいる山で、鬼婆に捕まってしまう。
土地神の印を持つ人間は、妖怪の格好の餌食だった。
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虎徹と鬼切に助けられながら、必死に逃げる奈々生。
鬼婆は獲物を全力で追いかける。

「急がれませ、奈々生さま!鬼婆を巻くには木に登るしかございませぬ!」

「高いよーーーっ」

奈々生は半べそで必死に木を登る。
ちらと下を見ると、全然諦める気配のない鬼婆が追ってきていた。

「逃がさんぞ…土地神の血肉…」

「離してーーーーっ」

必死に振り払おうともがいていると…

「大変そうだな、奈々生よ。お前のピンチと聞いて、とんできてやったぞ」

そこに現れたのは巴衛。

「貴様は神使の巴衛。わしの邪魔をする気か!?」

「邪魔?邪魔などするものか、さぁさぁ俺のことは気にせず、そのまま続けるがいい。俺は高みの見物に来たのだ」

な…さ、サイテー!!
奈々生は信じられないといった表情で巴衛をにらむ。
巴衛はふわっと奈々生の側に寄り、にやりと笑った。

「助けて欲しいか?奈々生。俺に助けて欲しいのだろう。「愚かな私めをお許しください巴衛様」と泣いて頼めば、助けてやらんこともないぞ」

「誰が!アンタなんかに!」
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彼と一緒に高い木からまっさかさまに落ちる。

「このバカ…!一言言えばいいだけではないか!!つまらん意地を張って死ぬつもりか!!」

「アンタこそ女の子が泣いてるのを、高みの見物なんて、意地張ってるのはどっちよ!!」

「このまま地面に落ちればお前は死ぬわけだが…その前に俺に言いたいことがあるだろう」

「もちろんよっ!!」

奈々生は巴衛の襟元をぐいと掴み引き寄せた。
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「私を助けろ!!」
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巴衛の腕に神使の縛りが現れ、意志とは反してふわりと奈々生を抱きとめた。

「さすが奈々生さま…これで奈々生様は正真正銘、本物の土地神様となられました」

「この俺が、こいつの神使だと!?この草むしりもできない小娘の…」

彼の愚痴を途中で遮った、奈々生。

「巴衛、来てくれてありがとう。社に戻ろう。」

新しい主の笑顔に、しぶしぶ社へ戻っていく巴衛だった。



Comments
最初はドタバタでハートフルなラブコメという印象でしたが、所々に伏線があり、
後半は本当奥が深い!どんどん引き込まれます。
土地神は縁を結ぶ神。
なぜ巴衛と奈々生が出会ったのか、全てが繋がった時は鳥肌もの!
この物語を読み終わった時、「縁」ってなんて不思議で尊いんだろうと思いました。
ぜひ読んで欲しいマンガの一つです。



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