※ネタバレ・画バレを含みますので、閲覧にはご注意ください

ふろくカレンダー絵
この2人は冬が似合いますね~
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(花とゆめ 2017年1号掲載)

「咎人を牢へ!逃がすな!」

レオンはギルモア侯爵を毒殺したとして、牢に入れられた。

「どういうことよ!なんっで私たちがこんな離れに軟禁されなきゃいけないのよ!」

ノアとエスター、エヴァ、イオンは離れ部屋に閉じ込められていた。
「いざとなりゃ、壁ぶちぬいて飛び出せるんだからね!」

ご立腹のエヴァ。
しかし、ウィンターソンの当主・レオンを人質に取られているため、下手には動けない。
クリス様の願う「吸血鬼と人間の共存」の理が破られて、大戦争になりかねないのだ。
エヴァはエスターに尋ねる。

「あんた…ウィンターソンがなにか思いつめていたって言っていたけど…まさか彼のこの旅の目的は、両親を殺したハイランドの吸血鬼への復讐だった…とかじゃないでしょうね!?」

「レオンはそんなことしません!彼はご両親を亡くした幼い頃から、ウィンターソンの名に恥じぬようにと努力されてきた方です。お父様とお母様が護り抜いた家名を汚すようなことは、決してありません!」

まくし立てるエスターを見て、エヴァはふうっと息をついた。

「…わかったわよ。私だって、クリス様のライバルであるウィンターソンがそんな愚かな奴だと思いたくはないのよ。でもそうなるとわからない、犯人は誰?そもそもいま何が起こっているの?」


地下牢に食事を運ぶ、1人の吸血鬼
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「少し落ち着いて、ご自分のなされたことを認める気になれましたか?」

「何度聞いても同じだ。俺は何もしていない。…ギルモア侯爵は無事なのか?」

「さぁ…まだ砂にはなっていませんが、意識がありません。おかわいそうに内蔵が焼けただれてしまったようですから…そろそろ死ぬんじゃないでしょうか」

「?…あなたたちの王ではないのか…!?」

「あの方はもう死んでいるも同然でしたからね。生きる気力を亡くした王など、王たる資格などない…」

レオンは全てを悟った。

「…だから、毒を…?」

「はて、何のことでしょう」

食事を差し出すアーサー。

「貴様らの施しなど、受けてたまるか!」

アーサーはレオンを蹴り上げる。

「まーだ、ご自分の立場がよくわかっておられないようだ。あなたは咎人となったのですよ、私に許しを請いひれ伏すべきだ!」

何度もレオンを蹴り上げ、彼は口から血を吐いて倒れた。
レオンの髪をわしづかみ、顔を上に向けさせる。

「いい眺めですね、伯爵。まだまだあなたに死なれては困るのですよ。」

アーサーはにやりと笑みを浮かべた。
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レオンは目を見開く。
アーサーの髪が月明りに光った。
月明りに光る…銀の髪
あの夜、クリスの髪の中でも何かが光った気がしていた。

ああ…俺は十数年、なんという思い違いを…

レオンはその場にうずくまった。


エスターは交代で仮眠をとりながら、定期的な食事の支給を待っていた。
と、ノアが何かに気がつく。

「今回はドアのかぎが開けられています!食事のトレーにメモが」

ひとときだけなら、あなたたちを会わせてあげることができる…
意味深なメモの内容。
そして、屋敷の見取り図が書かれていた。

「誰かが、私たちの味方に!?」

これからちょうど夜明け…吸血鬼の活動が鈍る時。

「行くなら今しかない!」

エスターとエヴァが行くと意気込み、止める男性陣を振り切って、レオンの元へと向かった。
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「あ、このにおい消しの草持ってなさい。あんたたちダンピール特有のにおいを多少けしてくれるかも」

「ありがとうエヴァ」

突然、エスターの前にこうもりが落ちてきた。

「え・・・何か落ちて・・・コウモリ?」

「この子!クリス様だわ!分身よ!クリス様の一部!偵察に寄越してらしたんだわ!」

良く見ると、足にクリスのリボンがつけられていた。
そっと抱き上げるエヴァ。

「日がさしてきて、焼けちゃったんでしょうか…夜になればまた飛べますか?」

「ええ、クリス様のところへ戻ると思うわ…よしよし、もう大丈夫よ」

「…エヴァ、この前の夜ホテルのお庭でエヴァが言いかけた事って、昨日アーサーさんが言ってたことだったんですね」

「…あんたは知らなくてよかったんだと思うけどね。きっとウィンターソンもそう思って話してなかったんでしょ。…まあ、思ったよりあんたは冷静だったけど…」
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「…私たちの中でもそんな噂話する輩はいたのよ。私が絞めてやったけどね!」

エヴァは強いまなざしになった。

「クリス様は昔から人間の共存を望んでおられる。人間との信頼関係を築くために尽力されてきたのよ。そのためには同胞にとっては非情な統制だって、心を鬼にしてなさってきたわ。そんなあの方が、ウィンターソン家を襲撃?」
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エスターは立ち上がると、自分のスカートをびりっと破き、自分の血で文字を書き、コウモリの足に結び付けた。

「コウモリさん、日が暮れたらこれをクリス様に届けてください。お願いします。」

「いいの?私の言葉を鵜のみにして」

「きっとレオンも疑っていたからこそ、このハイランドに真相を確かめるために来たのだと思うのです。憎みながらも、信じたかったのだと思います。かつて慕った大切なひとのことを…」


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ウィンターソン家の襲撃の犯人はクリスではなかったですね。
良かったです。
思い違いをしていたレオンは相当ショックでしょうけど…

どうかクリス様に助けに来て欲しいです…
エスター頑張れ!


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