「花嫁は狼陛下の味方ですよ」
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Story
堅実な下町の娘、汀夕鈴は割りのいい仕事があると聞き、王宮へとやって来た。
2016-11-13-17-33-09
国王陛下の臨時花嫁…
冗談じゃない!聞いていないわよそんな話!

「詮索は一切無用、貴方は雇われていることを伏せ、表面上、妃として暮らすだけです。そう難しい仕事ではありません。」

大体、よりによって相手があの冷酷非情で有名な「狼陛下」!?
陛下は夕鈴をじろりと一瞥した。

「…なんだ手を出してはいかんのか?」

夕鈴はその冷酷な声に、体をビクッと振るわせる。

「短期間でお帰り頂く方です。後継ぎ問題にでも発展しては後々面倒ですので」

「なんだつまらんな。せっかく愛らしい兎が来たものを」

に、肉食な感じだっ…
一度退出したが、夕鈴はやはり断ろうともう一度部屋へ戻る。
陛下と従者の会話が聞こえてきた。

「て、ゆーかさぁこの作戦、僕休むヒマなくない?」

「まだ気を抜かずに!人払いが済ませてあるとはいえ…」

「えーだってー」

ん!?
この声…狼陛下!?

部屋から出てきた陛下とばったり出くわした。

「あ―――――――――っと…ご、ごめーん李順―お嫁さんまだいたよー」

な…なんか別人なんですけど!?


実は「冷酷非情な狼陛下」は他国や臣下になめられないための、イメージ戦略だった。
妃をもらって、人畜無害な性格がばれるのは非常にまずい。
そのため、花嫁の臨時バイトをやとってごまかそうとしていたのだった。

「―――ばれてしまったからには仕方ない。今回の件…うっかりでも口を滑らせたら、一族郎党地上から消えていただきますので」

そんな、ばかな…
夕鈴は臨時バイトを引き受けざるを得なかった。

冷酷非情な狼陛下と共に過ごすようになり、夕鈴は彼が優しい王であることを知る。

「私はこれの爪も牙も愛らしくてしょうがないのだ」

陛下が妃に向ける寵愛に、例え演技であっても胸をときめかせてしまう夕鈴。
王宮は陰謀がひしめく、闇の巣窟。

「王宮なんて皆ああだよ。自分のために嘘ついて笑って取り入って、用済みと思えばあっという間に敵になる…一瞬の幻みたいなつながりだ」

「…陛下」

こんな柔らかな性格の人が、ここではさぞ生きにくいだろう…

「――あの、臨時だし、お金もらってるし、こんなこと言っても全然足しにならないかもしれないですけど」
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「――夕鈴、私は…」

「ちょっ、へーかっ」

夕鈴は思い切り陛下を突き飛ばす。

「今っ、演技いらないっ…ですよ、ね?」

「――うん、そうだね。ごめんごめん」

夕鈴は足早に立ち去る。
いけない、いけない。まちがえちゃダメ。
あの人のあれはただの演技でっ、今私が見ているのこそ一瞬の幻だわ。


臨時の宮仕えはあっという間に終わって、暇乞いをすることになった夕鈴。

「夕鈴、支度は済んだの?」

「はい、あとはお給料頂いて帰るだけです」

「そっか…」

「陛下…」
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「―――…夕鈴、こんなことすごく言いにくいんだけど…夕鈴怒って部屋の衝立壊しちゃったでしょ?…あれでお給料、マイナスになっちゃったらしいんだよね」

「…………は?」

「でも、返済はいつでもいいからね!ところで夕鈴、また臨時の花嫁募集するつもりなんだけど――」

夕鈴はふらついた。

「詐欺だ―――――!!!」

狼にとらえられた兎。
夕鈴の後宮勤めはまだまだ続く。


Comments
お互いどんどん惹かれていくのに、想いを伝えることは許されない。
狼陛下と夕鈴のじれったい恋愛模様に続きが気になって仕方ない作品です。
演技とはいえ惜しみない陛下の寵愛に、ドキドキさせられること間違いなし。
まだ作品は続いていますが、ひと盛り上がり終わった所なので、一気読みをおススメします。



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