※ネタバレ・画バレを含みますので、閲覧にはご注意ください。

(LaLa2017年1月号掲載分)

茶会当日

「ようこそお越しくださいました、カルム王子」

「出迎えご苦労」

侍女たちがカルム王子を迎え、茶会の開かれる庭園へと案内する。
王子の後ろには、招待された側妻のコレルとミーシェ。
ミーシェは緊張と意気込みのあまり、目つきが鋭く侍女たちから怖がられる。

「―――…全く」

カルム王子はミーシェの頬をつねった。

「はひ」

「せっかくの衣装が台無しだな、茶会は皆と交流し親睦を深める席、笑顔を見せる程その機会も巡るというものだ」

「確かにそうかも…」

「ああ…」

突然、カルムに向かって青年が飛び込んできた。

「兄さんだ―――――――――!!!」
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「コレルも式典以来だね」

「再びお会いできて光栄です。ヨハネ王子もお茶会に?」

「うん、面倒くさいよね」

その隣でユーゼフ王子はミーシェのドレス姿に鼻血を出している。

「てっ…天使がいる」

「お久しぶりです。ユーゼフ王子」

カルム達が騒がしく談笑していると、突然もう一人の男性が現れた。

「…こんな所で談笑かい?母上たちはもう庭園にいる。あまり待たせてはいけないよ」

ユーゼフは突然背筋を伸ばした。

「全くその通りですね!さっさと行くぞ、ヨハネ」

男性はミーシェに気がついて声をかけた。

「君は初めて見る顔だね」

「は、はい、ミーシェと申します」

ユーゼフ王子が敬語ってことは…
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終始にこにこしていて、マイナスイオンが出ているような人。
ミーシェはまじまじと見る。
第一王子って、前にカルム王子に毒を盛った人…
カルムとメフライルは目を合わせて僅かに微笑み合ったが、違和感だけが残った。


「本日はお招きありがとうございます、母上」

「ああ、よく来たな、コレル、ミーシェ。此度の茶会は王子とその妻達の交流の席、皆で語り合いゆっくりと過ごしてくれ」

王子の妻達は顔なじみの様子。
コレルは話が弾んでいたが、ミーシェはいつしか蚊帳の外に。

「…あら、あなたは初めてお会いしますわね」

「あ、はい私は…」

突然、王妃の横やりが入った。

「その娘はカルムが最近側妻に迎えた娘だ…少々生い立ちが特殊でな」

「―まぁ!では異国のお姫様かしら、後宮入りして早々茶会に招待されるなんて、よほど優れたお方に決まっているもの。私は財務長官オスディルの娘。ユーゼフ王子の妻、アマリアと申します。」

「私はメフライル王子の妻、ヒュリア。父は第二宰相を務めております。」

「よろしければお名前を伺っても?ご家族は何をされているのかしら」

ミーシェはギュッと拳を握る。

「…ミーシェと申します。家族は…」

王妃がその様子を見て、口をはさんだ。

「…答えたくないのなら、無理に答えずとも良い」

ミーシェは口をつぐんだ。
正直に話せば、カルム王子に迷惑がかかるかもしれない。どうするのが正解か分からない。
王妃様は私に身の程を知らしめるために、ここへ招いたかもしれない…

「興がそがれたな。詩でも詠ってくれ、コレル」

コレルは美しい声で詩を奏で始める。
周りからも絶賛の声があがる。

気を遣った妻のひとりがミーシェにも詠えるか尋ねるも、王妃がそれを制止した。

「ハルカ、その者は良い。代わりにお前が詠いなさい」

その様子から妻達が、ミーシェには関わらないほうが良いと距離を置くようになった。
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「もちろんです!元々はアーレフ王の奴隷だったのですが、舞などは本当に見事で美しく――」

「ヨハネ、退屈そうだな。兄上と手合わせでもしたらどうだ」

ユーゼフの会話を遮るように、話題を変えたカルム。
しかし、メフライルはミーシェに興味を持った様子。

「…へぇ、アーレフ王が飼っていた奴隷…ね」


王子達のやり取りはよそに、妻たちは王妃の前で詩を詠み続ける。
ハルカは異国の詩を詠むも、途中で続きを忘れてしまった。

「つ…続きを忘れてしまっ…」

「聞こえん!はっきりしゃべらないか」

「はっ、はい、えっと…」

泣きそうなハルカの様子をみて、ミーシェは助けるように詩の続きを詠いだした。
皆が驚いた表情でミーシェを見る。
王子もまた、彼女にくぎ付けになった。
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メフライルもその美しい歌声を賞賛する。

「見事なものだね…でも…」

一同、凍り付いたようにシンとなった。
ミーシェは何故静まったのかわからない様子。王妃が口を開いた。

「――娘、今すぐここから出ていけ」

…え?
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「それはひいてはハルカを貶めることになるんだぞ」

「そんなつもりはありません!私はただ、彼女は私の代わりに詠うことになったから、困っているなら助けなきゃと思って―――」

「偽善的だな、それも計算の内か?何も持たぬお前が後宮で地位を得るには、私の機嫌を取るのが定石だからな。早く下がれ」

確かに王妃様に認められたいと思った…けど…

「…このっ、ひねくれ王妃!!!」

ミーシェは力の限り叫んだ。
あたり一同ぽかんとした表情になる。

「ひねっ…?」

「詩が詠える程度で評価されるとは思っていません!」

「…では見返りも求めず手助けしたと?」

「見返り!?そんなもの貰うくらいなら、王妃様の言う偽善者で結構です!!!!」

コレルは何てことをしてくれたんだと…後ろで手で顔を覆っている。
突然、カルムの笑い声が聞こえた。

「――――くっ、あははははははは!母上にっ…口答えする者など…初めて見っ…」

お腹を抱えて笑うカルム王子に、王妃は怒り爆発。

「笑いごとではないぞ、カルム。この無礼者を後宮から追い出せ!」

「えっ」

「お断りします」

カルムはきっぱりさっぱり答えた。

「ほう…答えるのが早いな。理由を言え。」

「才能ある者を手放すのは惜しいですし、それに―――…
思いやりは上に立つ者に必要な事でしょう」
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「人の痛みを誰よりも理解します」

カルムの言葉に胸を突かれるミーシェ。

「―――まぁ、少々愚直に過ぎるところもありますけどね」

「わ…わかってるよ…」

そこに助けられたハルカが進言した。

「お…王妃様、少なくとも私はうれしく思いました…」

「…そろいもそろって考えが甘すぎるな。王族の妻に必要なのは主を支える聡明さと、国の利益になるかどうかだ。この娘がそれを持っているとは思えん。」

援護に入ったのは、メフライル。

「そうでもないと思いますよ。あの者の元にいた人間ならば、利用価値はある」

笑顔で残酷なことを言い放った。

「メフライル」

「―――この娘」

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ひねくれ王妃!
いや、すっきりしましたね。ミーシェの言動は本当に心地よいです。

そして、ミーシェの魅力を誰よりもわかっているカルム王子が本当にステキです。
ついに第一王子が出てきましたが、また不穏な雰囲気ですね。
メフライルは何を企んでいるのでしょう。


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