※ネタバレ・画バレを含みますので、閲覧にはご注意ください!!

(LaLa2017年1月号掲載分)

「タリガどの、来てくれ」

ゼンに名を呼ばれたその時、タリガは唇をきゅっと結んだ。
2人は王城の一角にある塔の前へと足を運ぶ。

「ここは…」

タリガの問いに、ゼンが頭上にある塔の小窓を指差した。

「上に…ミツヒデがいる」

ミツヒデは手のひらに光り輝く石を手にしている。
ゼンはタリガにまっすぐ向き合ったまま、城壁の溝に腰を掛けた。

「そういえば、まだ本名は明かしていないんだな」

「――――…はい」

少し驚いたような表情を見せるタリガ。

「…ああ、ですが丘で…ツルバの名を呼んでしまったので、先輩方は疑問に思ったかもしれません。」

「問題ないのか?」

「私がツルバとそう決めただけですので…一度くらいは」
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「殿下、よく私がタリガだとわかりましたね。気付いていますか?一度も間違えていないんですよ」

「三つ編みだからな、タリガどのは」

「食堂でお話しした三度目は編んでいませんでしたよ」

ゼンはえ?という顔をする。

「どこか違いましたか、私とツルバは」

「…目の開き方が少し違うかもな。あと人に呼ばれて振り返る時、すぐに正面を向けるのがツルバどの。まず半身で見るのがタリガどの」

本人も気がついていないような特徴をすらすら挙げる殿下に、タリガは驚く。

「ツルバどのは、タリガどのが俺と話す時に一瞬気配が注意深くなる―――のを感じるから、少し気になっていたが…さて…と」

ゼンは立ち上がり、改めてタリガに向かい合う。

「ツルバどのが戻るのを待っているのか?タリガどの」



一方、道中を阻む刺客に声をかけるツルバ。

「お前たち、俺の家の当主に雇われている者だろ。俺を待ち伏せか?」

複数人の敵が姿を現した。

「当主はその先にはいない。双子のどっちか知らねぇがあんたの相手は俺たちが頼まれてる」

「お前らの相手をしているほど、俺は暇じゃないんだけどな…」

「悪いがこっちも仕事だ。ああそうだ、置き土産があるぞ」

一人の男をツルバの前へ投げだした。
それは、ツルバ達の仲間の変わり果てた姿だった。
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「…ふーん、優しいな当主と違って」

「お前たちがあの男の何を知ってる。居場所くらいは知ってるのか?」

「あんたは行かなくていい。当主宛てに何か持ってるだろ?こっちに渡せ。渡さないならあんたごと斬る」

ツルバはぼそっとつぶやいた。

「会いもしないか」

しびれを切らした敵がツルバに剣を振り降ろす。
ツルバは慣れた身のこなしで、その切っ先を避けると見事な剣術で相手を切り刻んだ。
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「ああ、いつまでもつかな」

敵が一斉に襲い掛かる。
軽い身のこなしで、攻撃をかわすも人数の多さに本音を漏らした。

「…タリガ抜きでこの人数は初めてか…」

激しい戦闘が始まる。
剣と剣が奏でる甲高い音が響き、斬られた者の血が容赦なく地面を汚す。

「トウカはどこにいる!答えろ!!!!」

ツルバもとうとう蹴りを食らい、一度後方に下がる。


…3、4、5、6…何人用意してやがる

一瞬の気のゆるみだった、背後から飛んでくる凶器に気付くのが遅れた。
ツルバが振り返ったその時…
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「!?」

ツルバは驚いた表情で訪ねる。

「…誰…」

「この状況だと助っ人その2ってところかね」

「その…?」

怪訝な顔でオビの方を振り返ると、ふわっともう一人の騎士がツルバの前に舞い降りた。
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「同じ騎士様に見えるかよ!?」

「まとめてやれ!!」

ツルバは少しの間、呆然と見ているも、木々の背後に敵を察知するとすぐさま叫んだ。

「!!木々どの!!」

その声に反応して、木々は敵を蹴散らした。
オビと木々はあっという間に敵を倒した。


戦いが終わり、オビ、木々、ツルバは火を囲んで話を始めた。

「…抜け出すところは…見られていないつもりでしたが…」

「…何をしに外へ?」

ツルバは大事なことを思い出し、木々の腕をガッと勢いよく掴んだ。

「木々どの!殿下はいつ王城に……」

ツルバの鬼気迫った表情に、オビも木々も瞳を揺らす。

「…殿下が何です。ツルバどの」

ツルバは首を垂れると、ぎゅっと奥歯を噛んだ。

「すみません、木々殿…殿下。ミツヒデどのの剣を奪ったのはベルガット家です。」
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「木々どのとの縁談もその為です。成立させる算段もあったはずだ。今回のことで当分セイラン家との縁談は他の家からは敬遠されるでしょうから。ただ副団長との事が想定外だった。そして、ミツヒデ殿の方は…ゼン殿下の側近として築いてきたものを…名誉を奪えばいい」

木々もオビも、大事な相棒の事を想い苦しそうな表情で続きを促す。

「…その為に…?」

「――――――俺もタリガもミツヒデどのが剣を奪われた時、それがトウカの狙いだったのだと思いました。」

急に風がざあっと吹き荒れる。

「犯人があがらなければ、たとえミツヒデどのが裁かれずとも、騎士としての信頼は揺らぐ。黒か白かもわからない者を殿下の側に置いていいわけがないと…そう思いましたが、違った。それでも賭けに近い…」

ポツポツと雨が降り始めた。
雨脚はどんどん強くなり、木々とオビを濡らしていく。

「…だけど、もし…」
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「………ミツヒデどのは終わりです」

雨の音がひどく煩い。

「周囲も、おそらく本人もそんな失態は許さない」

木々の瞳が大きく揺れた。
大切な人が、愛する人が…悪の力に飲み込まれようとしている。

彼女は腰の剣を鋭く抜いた。
ヒュッと目の前にいるツルバの喉元に切っ先を当てる。
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「俺とタリガだけじゃない!あいつにとっては殿下すら、駒に過ぎないと分かって他にどう出来る!?」
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ツルバは一瞬言葉に詰まり、瞳からポロポロ涙をこぼした。
過去の暗い思い出が、走馬灯のように頭を駆け巡る。
殺されないために兄の命令に従うと誓った、あの雪の日。

「必ず、あの光も、タリガも、全部潰すに決まってる…」
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木々は厳しい表情でツルバを見ている。
その瞳に嘘はない。

ふと木々の頭に、ミツヒデとゼンの姿が浮かんだ。
眉間にしわをよせて目を閉じると…木々は剣を鞘に納めた。

その木々の行動を合図にオビが急に動き出し、馬に飛び乗った。
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「木々嬢!」

木々はツルバを振り返ることなく、オビが連れてきた自分の馬に勢いよく乗って、
闇の中を駆けて行った。
ゼンと…そしてミツヒデを守るために。

ツルバはまだ目に涙をためながら、呆然としていた。

「…………………守る……………」

いつか見た、光輝いていた主君と従者の関係。
自分が欲しかったもの。

その瞬間、ツルバは立ち上がり、彼らの元へと駆け出していった。



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前回に続き、泣けました…

まず、木々とオビの登場がかっこよすぎて、悶えました。
木々が男だったら間違いなく惚れてますね。
ツルバに剣を突き付けた姿がまたカッコいい。

そして、こんなに感情に流される木々は初めてみました。
いかにゼンとミツヒデが大切なのかとても良く伝わってきた。
側近組、本当好きです。

タリガとツルバのお互いへの想いもまた、泣けました。
2人はゼンの側近になるのでしょうかね。
ここまで注目されているので、何かしら関わりを持つのだろうと思いますが。
全然見分けつかないけれど、そうだと嬉しいです。

次回も待ち遠しい。

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