※ネタバレ・画バレを含みますので、閲覧にはご注意ください!!

(マーガレット2016年23号掲載分)

デートなんて何年ぶりだろうか

「わー!大きいところですね!初めて来ました!」

2人がデートでやってきたのは、江戸東京博物館。
暁はふみの反応を見ながら、鋭い突っ込みを入れる。

「・・・・・・お前本当にここに来たかったのか?」

ぎくりとするふみ。

「も、もちろんですよ!さ、入りましょ!」

暁は辺りを見回しながら、ふと昔を思い出す。
ここは名前も思い出せない元カノとデートで来たことがある場所だった。
えらく機嫌を損ねられたことだけ、鮮明に覚えている。

ふみが暁を振り返った。
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変わった娘だ…
暁はしみじみそう思う。

「昔のお寿司ってこんなに大きかったんですね~」

「昔は赤酢だからシャリも大きかったんだ」

「そんなんですね。にしてもこの大きさかぁ…これなら3つ食べれば大体お腹一杯になるし、費用もお米代が主だし、工事現場の近くで売ればいける…か…」

「・・・娘?」

「ご、ごめんなさい私ったら!!」

暁は心の中で「守銭奴」とつぶやいた。
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知れば知るほど、今までの女とは全く違って
ますます何故この娘なのかと疑問が頭をよぎる

「先生!これで私、江戸時代にタイムスリップしてもやっていけますかね?」

「・・・タイムスリップなんてせんだろ」

「た、例えばの話ですよ。例えばの」

「そうだな、お前は行商より札差の方が向いているかもしれん」

「札差?」

「高利貸しだ・・・いくぞ」

ぬう・・・と少し頬を膨らませたふみを連れて、次のコーナーへ向かった2人。
とても華やかな展示が目の前に広がった。

「わあ、歌舞伎?」

暁はふと時がタイムスリップしたように、昔この場所で彼女を怒らせたことを思い出した。
「一人でまわれば?」
若い暁の前から彼女が去っていく。
ふと見上げると、歌舞伎の美しい展示。

ふみの声に引き戻された。

「綺麗ですね」

暁はハッとして、ふみに視線をうつした。

「こういうの見ると、1日だけその時代に行ってみたいなーって思いますね・・・なんておかしいですかねぇ」

昔自分が感じた感情とリンクした。

「――いや、全く」

なんでこの娘なのか
初めて笑顔が可愛いと思った
喜ぶ顔が見たいと思った・・・ただそれだけ

これが恋なのかわからない
今までのものを恋と呼ぶなら、これとは全く別物だ

「おい、順路こっちだぞ」

「え!あれ?す、すみません。先生お詳しいんですね」

「ああ、前に付き合ってた女と一度来たことが・・・」

暁はつい頭によぎっていた思い出のことを口に出してしまった。
あ・・・しまった・・・今のはさすがに余計な一言

ふみは少しばつが悪そうに返事をした。
「あ・・・そうなんですね・・・じゃあ一回来てるからあんまり楽しくなかったですかね・・・?」

暁は少し驚いた。
つまらないどころか、むしろ・・・

「いや、そんなことはないが・・・今の発言は許容範囲内なのか?」

「許容範囲も何も、先生が鈍感なのははじめからわかってますので・・・」

ふみは振り返りながら、笑顔を見せた。

「それに、こんなこと片想いの辛さに比べれば、取るに足らなさ過ぎて」

「――――しぶといな」
本当知れば知るほど不思議

「つらいことには人一倍慣れてますから!ていうか、先生ってたぶん私のことまだちゃんと好きじゃあない・・・ですよね・・・」

二の句が継げない暁。
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自分で言ったことに顔を赤くする、ふみ。

「なんて!!えへへへへへ。あ!あんなところに何かありますよ!」

照れ隠しで話題を変えた。
暁はふみの様子をみて思った。

何故この娘なのか、もう少し知りたいと思ってしまう
誰かが「自分の変化に一番鈍感なのは自分自身だ」と言っていた
だから周りをよく見ろと、でないと気づくことはできないと


外に出た2人

「すごく楽しい所でしたね!ここはまた来たくなりますよ~」

「娘、本当はどこに行きたかったんだ?大かた俺にあわせてここを選んだんだろう。本当はどこに行きたいのか言え」

そんなことない、と言うふみに暁が真顔で「言え」と迫る。

「う・・・えっと・・・じゃあ・・・」
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やってきたのは成城石井

「もっと別の所でもいいんだぞ」

「別の所だなんて!そんな!!実は前にテレビ見てからずっと来たかったのですが・・・何となく一人で来るには勇気がなくて・・・」

とびきりの笑顔を向ける、ふみ

「なので今、スーパーウルトラ嬉しいです!」

・・・今、この娘がオレの隣で笑っている

「娘」
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「―――なっ」

ふみは真っ赤に頬を染める。

「またそうやって、私をからかって!」

「からかってない、今度は本当だ」

真剣な顔で手を差し伸べる、暁。

「え・・・冗談じゃ・・・」

「冗談なぞ言わん。やめるか?」

「つなぐ!つなぎます!」

「手」

「はっ、はい!」

ふみは自分のパンツでごしごし手を拭いてから、差し出された手にそろそろと自分の手を重ねた。
心臓が激しく脈打つ。

もう少し知りたいと思ってしまう
そのことがどういう意味をさすのか、まだ確証はもてないが
いつかオレは気づけるだろうか、この気持ちの名前に


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ふみちゃんがピュアで可愛いすぎる・・・
そして、全然顔に出ないのに、心の中では確かにふみへ傾倒していく暁がたまらんです。

この2人の距離感好きだ。