乙女よ何処へ行く

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明治メランコリア

※ネタバレを含みますので、閲覧にはご注意ください!!

揺らぐ心 (BELOVE 2016年18号掲載)

春時兄様ー><。。


津軽の表情に、胸がぎゅっと締め付けられる鈴子。

なんだろうこれ。どうしたのかな。

「お参りでもしていこうか…」

「そ…そうですね」

私まで照れることないのに、深い意味はないシェイクハンドだし…。
津軽もずっとそわそわ、鈴子の隣をゆっくり歩く。
鈴子はふと木々に小鳥が二羽とまっているのを目にして、表情がほころんだ。

「小鳥二羽!かわいい」

津軽はそんな鈴子の表情に引き込まれるように、彼女を見つめて言った。

「そうだね、かわいい…あ」

途端、津軽を振り返った鈴子と目が合う。

「小鳥、あっちですよ?」

津軽は手で顔を覆って、これは結構恥ずかしいな…とつぶやく。

え?私を見て言ったの?
これ、どういう態度をとるのが正解?
昔の私はどうしてた?この人ってこういう人だったの?なんだか感じが違う。
そわそわしてしまう…。

2人はお参りを終え、帰路についた。

「わざわざ送ってくださってありがとうございました。それじゃあ…」

津軽が呼び止める。
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ああ…そわそわ、ざわざわ。
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緋色の紅葉 
(BELOVE 2016年17号掲載)

「やめて、やめて、やめて!!」

死ぬのだけは!!!

銃口を自分のこめかみに当て、引き金を引いた津軽。
体がよろめきその場へと倒れこむ。

「津軽っ!!!」

すぐさま駆け寄る鈴子。
倒れた津軽の顔を覗き込みながら、目から涙がこぼれる。間に合わなかった…

「っ………つが…」

「それは、私のための涙?」

「!」
ハッと津軽の顔を見ると、そこには少しいじわるそうな笑顔。

「ごめんね、私は君の泣き顔好きなんだ。」


バッと立ち上がると、津軽は鈴子と愛染の間に立ちふさがった。

「二人で近づいてくるかと思ったけど、君だけ来てくれて助かった。これでもう容赦しなくていい。」

津軽は懐からナイフを取りだそうとした、その時、
「動かないでっ!」

銃を愛染に向けて構えたのは、鈴子。とっさに津軽の銃を拾い、彼へと向けた。
いつの間に…と感心する津軽。

「もういい加減にしてください、愛染さん。力で動かす道は、反発する力で阻まれるんです!!」

「貴様っ!俺こそが反発する力だ!追い払い打ち砕き、俺という人間をこの国に刻むためには誰にも邪魔はさせん!」
この人は何かの妄執に取りつかれた人だ。怨念のようなそれを取り払えたなら…。

「君の考えていることはたぶんちょっと難しいね。…ここまで来ると変わらないんだよ。」
津軽は鈴子の考えをよんで、言葉をかけた。

愛染は突如、連れの女中を捕まえて銃を向けた。
「俺は味方も犠牲にすることができる。」

「あっ、愛染様!?」
震える女中を盾にして、その場を離れようとする。…その時、雷が鳴り、近くの森に落ちた。
一瞬の隙を見て、女中は愛染を突き放し逃れ、津軽は彼女を受け止めた。
よろめいた愛染は地盤の緩んでいた崖の際に足を踏み出す。愛染の重みに耐えられず、地盤は崩れていく。

「あ・・・!」
愛染は近くにいた鈴を巻き沿いにしようと、彼女の足を掴む。
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大切な想い (BELOVE 2016年16号掲載)


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表紙かわいい…



何が起こったんだろう…
私…この人と今…

止むことのない雨の中で口付けを交わした、春時と鈴子。
鈴子は事実をかみしめ、わずかに頬を染める。下を向いた鈴子にコートを着せる春時。

「あ…コートありがとうございま…」
「行こう。道に戻らないと。」

鈴子と目を合わせることなく、足早にその場を離れる春時。

春時さん…?顔が…
いや、今はそんなことより…

鈴は春時に、追手が来なかったか尋ねる。屋敷に怪我したおじい様がいると伝える途中で、
のされた追手達が横たわっていることに気付く。

「3人目も捕まえておいたよ。うまいこと罠にかかってくれて助かった。」
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津軽は鈴のフードをかぶせる。
…水浴びしたあとみたい。雨の中、この人も私の事必死に捜してくれたんだ…。


鈴子たち一向は屋敷へと戻り、扉を開けると。

「待ちくたびれたよ。」
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「藤島に桐院…始末するように言ったのに、ひなまでしくじったというわけか…」

「私はねぇ愛染さん、あなたが理想もなくただ権力を得たいという野望を願うなら、
好きにしたらいいと思っていました。」
津軽は怖い顔で愛染に語りかける。

「ただし、それは私と関わらないところでだけです。いかに利用できようとあなたはこの子に手を出すべきじゃなかった。私はもうあなたを潰すまで許しませんよ。」
津軽の声色は一層低くなる。

「どうやってだ?方々への根回しだってすんでる。そう簡単には潰せん。少し遠回りになるが、この老人が死んでもな。」
愛染は秋山に銃口を向けた。

「おじい様!!!」

「バカ者が…もう貴様は政界に入ることはできん。この先何もなければ貴様には協力してやるつもりでいた。だが、万が一わしに何かあるようなら、即座に貴様の道を断つよう手配済みだ。その時は貴様しか考えられんからな。」

愛染は苦笑いをしながら、鈴子を見た。
「だが切り札はこちらにある。娘!この老人を殺されたくなければ、お前が代わりに来い。」

「話を聞くな鈴子!」
止める春時。

ドン!
愛染の銃がけたたましい音をたてて鳴った。

ぎあああああああ。
秋山の足が赤い血で染まる。

「やめて!!!私代わりになるから」
鈴子を必死に説得する春時。おじい様も息絶え絶えで止める。
その様子を見て津軽は鈴に耳打ちした。
「君の思うように」

津軽を見上げる鈴子。その目には決意の色が浮かんでいた。
「本当におじい様は放してくださいね。他の人も撃ったりしないでください。」

「大丈夫、利用価値のある私をそう簡単に殺したりはしないはずですから。」
鈴子は愛染の方へ歩みを進める。

男たちを部屋へ残したまま、愛染は鈴子を連れて外へ出る。扉に鍵をかけ門を出た。

「こんなことしたっていずれ捕まるだけなのに!」

「このまま放っておけばな。しかし、都合の悪い人間など…消せば白紙だ!」
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大事な人たちが残る屋敷が一気に爆破された。
「いやあぁ!!おじい様!春時さん…!!藤島さん…!!」

目に涙をためて鈴子は燃え上がる炎に飛び込もうとするも、愛染に阻止される。
目の前に広がる光景に鈴子は何かを思いだした。

どこでか
いつか
何度も
見た

燃える光景。

鈴子の脳裏には過去燃えた館が次々に現れる。
今の…何…気持ち悪。

どうか 生きていて 逃げ出していて…

鈴子は半ば愛染に引きずられながら、屋敷を去る。

こんなことが許されるはずない。私がこの人をなんとかしなきゃ…

天候は一層悪化し、雷がひどく轟く。
愛染と鈴子は道を進むも、がけ崩れに遭遇し行き止まりとなる。

「どうやらそこが行き止まりのようですね。」
聞こえた言葉にはっと振り返ると、そこには銃を構えた津軽がいた。

「藤島さん…!!!」

「火薬のにおいがあんなにしてたら、すぐ動きますよ。2人とも…秋山さんも無事です。」
よかった…と安堵する鈴子。

「はっ、この状況で貴様は撃てまい。ずいぶんと格好をつけての再登場だったが、ここでの生きどまりは貴様だ」
依然として鈴子を盾にする愛染。
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鈴子の目を一瞬でくりぬくと言う、愛染。

「この人の言うことなんて聞くことないです、藤島さん!どうせこの人私を人形にするつもりなんです!この人のくだらない野望の道具になるくらいなら、いっそ―――」

「”いっそ死んでもいい”なんて言わないで。それじゃあ、私が困るんだ。」
津軽は穏やかな表情で鈴子に向かった。

「私は人より少し鈍くてね。死ぬことも終えることもそんなに怖くない。」

「でも、君に忘れられたのは―――――怖かったな。痛かった。」
津軽は何かを思い出すように目を閉じた。雨の音が一層増す。

「そして柄にもなく、今日思ったよ。」
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津軽は再び目を閉じ、持っている銃の引き金を引いた。
「せめて…」

銃口を自分のこめかみに向ける。

「…やめて」
鈴子の目に光が差した。
愛染の腕を思いっきり噛み、拘束から逃れ、津軽へと必死に駆け寄る。

「やめてやめてやめて!!!」
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「やめて 津軽!!!」
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!!!!!!!!!

津軽どうなっちゃったの!?
鈴子は思い出したのか!?
次が気になり過ぎる!



第8巻 8/12発売予定!表紙は津軽!


第7巻 発売中!



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※ネタバレを含みますので、閲覧にはご注意ください!!

やまない雨 (BELOVE 2016年15号掲載)



「やめて!!」

愛染に襲われ必死に抵抗する鈴子。

「あなたの思い通りになんてならないんだから!」

「思い通り?邪魔する者は切ってしまえばいい。さぁ、従順な妻となれ」

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鈴子の帯を解き、後ろから抱きかかえる。

―――とそこへ、ドアの向こうから声が。

「愛染さん、急ぎ知らせたいことが…」

「あとにしろ!」

「ですが、足取りを訊き回っている軍人がいるとかで…」

愛染は何か思い至り、鈴子を放して部屋から出ていく。
「逃げようなどと思わないことだ。おじい様がどうなってもいいというなら別だがな。」

部屋に一人残された鈴子は考える。
どうする…?どうしたらいい!? 落ち着いて震えるな考えろ。立って動け…
今できる最良のこと…

鈴は窓を開け、外にある馬小屋を見つけた。
賭けるしかない。


愛染が部下たちと話をしていると、突然馬のいななきが聞こえた。
「なんだ!?」

「娘が逃げたぞ!!!!!」
遠くに走り去る馬と鈴の着物が見えた。

「バカな!」
愛染は慌てて部下たちに追わせる。
しかし、愛染は不思議に思った。まさか人質を置いて逃げるとは…そういう娘じゃないと思ったんだが…
…いや待てよ、何かおかしい。

慌てて、秋山のいる部屋へと向かう。
「!!秋山が…いない!?」

隣の小部屋から音がした。ドアを開けようとするが開かない。
「やられた…!」

鈴はその小部屋の中で必死に秋山を引っ張り、部屋の奥へと連れていく。


秋山氏が気が付き、鈴子に目を向けた。
「いったい何が…」

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雨の中、暗い森の中をかけていく鈴子。着物は馬に括り付けたため、下着姿で必死に走る。
追手が戻ってくる前に、誰か助けを見つけないと…!

途中で躓いて泥だらけになりながらも、走り続ける。
そこに愛染の追ってたちと出くわす。

慌てて、岩場の影に隠れて身をひそめる。
今、捕まれば二度と逃げ出す機会はない。

寒い…ひどいかっこ…私。突然鈴子は心細くなり、目から涙がこぼれた。
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ふと、頭の中で誰かの言葉が浮かんだ。

「君は私の助手だから、大丈夫…」

誰?誰だっけ?

「何度でも昨日のように助けるから」

誰だかわからない…けど、もう少し頑張れるかも―
鈴子は涙をぬぐった。

―とそこに、足跡が聞こえた。
「!!」

逃げないと…
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「!!!!!」

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現れたのは、春時…!

「大丈夫か!どこか怪我は!」

「だいじょ…」

鈴子はふらふらと立ち上がり、春時へと身を預けた。
春時はマントを脱ぎ、鈴子にかけそのまま抱きしめた。

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私…この人知ってる…
鈴子の目から涙がこぼれた。

「誰かが来てくれるって思ったんです。―そうしたら春時さんがきた。」

「鈴子…」

春時は笑顔で好意を向ける鈴子を見て、我慢の限界だった。

「おまえのずうずうしいほどにまっすぐな目が好きだ。悪気もなんの意図もなく触れてくる手が好きだ。
ずかずか人の心に踏み込んで荒らして、うるさく小言を言う…その唇が」

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雨が降りしきるなか、2つの影は長いこと重なっていた。
近くの木の陰には、1つの人影。

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うう…つがる…
春時くん良かったけど、素直に喜べない…




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捻じれた野望 (BELOVE 2016年14号掲載)


鈴ちゃんが危ないー><。。


「行方が知れない?」

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河内は焦りの表情。
「もしかして…愛染さんやひなさんに何かされたとか…?」

一緒にいる春時と津軽は顔をしかめる。
「わからない、でもその仮定で動こう」

津軽はひなをあたると言う。春時も津軽についていくと。
ふと春時は疑問に思っていたことを津軽に尋ねた。

「なぜ、あの人たちは塀の中にいないのです?」

「私が――――許されるように頼んだからだよ。」
春時も河内も驚いた表情でその言葉を受け止めた。


一方、愛染の屋敷にいる鈴子。
祖父と対面するも、すぐに引き離された。祖父は右足を骨折していて動けない状態だった。
鈴子は不思議に思う。
足を折るようなことがあっただろうか…

疑問を抱えたまま、愛染と2人で別室で話をすることに。

「えっ、結婚の話!?…あの、こんな時にする話でしょうか。」
突然の話に動揺する鈴子。不安がよぎった。
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「…おじい様の後ろ盾をもって出世したいから…?ですか?」

「取り繕うのをやめるとそうなりますね。失望しましたか。…ですが結婚してからでも愛し合うことはできます。
私の亡くなった妻も最初はそうでした。」


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不意に浮かんだ2人の男性。

あ…れ…

藤島さんも入ってる…
鈴子は自分でも驚いて、かぶりを振る。

「とにかくっ、無理です!!」

愛染はその様子をみて、ため息をついた。
「やはりだめか。だがこれで思いきれる。」

「…あの、私と結婚しなくても頼めばおじい様が力を貸してくれるんじゃないでしょうか」

「わかってないな。ただの後ろ盾だけじゃない。莫大な遺産があるだろう。権力を手にするまでに必要なものは山とある。おまえは駒なんだ。」

愛染の化けの皮がはがれた。冷たい表情。
これがこの人の本当。もう隠すつもりがないんだ。…危ない―――!
鈴はとっさに逃げ出し、扉へと向かった。

「どこへいくつもりだ?外は雨。だいいち歩けないおじい様を置いて行っていいのかなぁ―――」
呆然とした表情で愛染を振り返る鈴子。

じりじりと鈴子に近づく。
「お前の脚も折っておこうか」

「!!!」

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私を逃げられなくするために…おじい様の脚を折ったんだ。
悔しくてやりきれない思いの鈴子。

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押し倒した鈴子の上に愛染が跨る。
鈴子の必死の抵抗もむなしく、ただただ目から涙がこぼれ落ちた。
外の雨音は一層激しさを増していった。



ひなと接触するため、病院を訪れた津軽と春時。
「君はここで少し待っていてくれないか。」

そう告げると、津軽はひなのいる病室に一人で向かった。

「やあ津軽待ってたよ。よくここがわかったね。」

「使える人脈は全部使ったからね。」
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ひなはクスっと笑って津軽に向き合った。
「先の短い私に同情してくれたのよね。」

「ひな、愛染の居所を言って。もしあの子を利用しようとしてるなら…」

津軽の言葉を遮ったひな。
「鈴子ちゃん記憶ないんですってね。」
顔をしかめる津軽。

「津軽のことも何ひとつ覚えてないんですって?どんな気分だった?日々にうとし?津軽はそういう人だよね」

ひなは笑顔で津軽に近づいてきた。
「鈴ちゃんが怪我したあの日、私いたの。おろかにも私を追ってきた。」

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津軽は壁を激しく叩いた。
ひなは一瞬驚いたが、みるみるうちに嬉しそうな表情になる。

「怖い顔!!私の事怒ってる?嬉しいなぁ。初めて津軽を本気で怒らすことができた。同情よりずっといい。」
ひなは嬉しそうにつづけた。

「津軽の勘は当たってるよ。鈴子ちゃんは今愛染といる。記憶が戻ったらやっかいだから急いだの。今頃手籠めにされているかもね。私の代わりにあの人の子供を産んでもらうんですもの。」
津軽の表情は一層険しくなった。

「私が自然に還ったあともずっと思い出して…」
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「ああそうか…私に忘れてほしくないのか。…わかるよ。忘れられるって消えるのと同様だから。」
津軽は鈴子に忘れられた自分を重ねて告げた。

「でも、君がこのままはぐらかすなら、君には頼らない。私自身でなんとかしよう。そしてどんな形でも…あの子を救い出したあとは…私は数秒とかからずに君を忘れてみせるよ。」

ひなの目には涙がうかんだ。

「本気じゃないと思ってない?できるよ私は。きれいさっぱり君の事なんか忘れてやる。」

「ひどい…ひどいなぁ津軽。ほんとにひどい。ほんとにそうしそうだもの。」

津軽の表情は微動だにしない。
「君次第だよひな。私に忘れてほしくないなら、さぁ居場所を言うんだ。」



津軽ーーーー!早く鈴ちゃん助けてあげて!
愛染に襲われちゃうよ。。
胸が苦しい…鈴ちゃんがんばれ><




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